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消費期限1年の恋-余命宣告少女-【参照100】 ( No.38 )
日時: 2013/07/14 12:57
名前: 乃愛 (ID: qyuIaVem)

「私っ...透馬君が...好きですっ...」

誰もいない、静かな教室。
そして、カーテンの隙間から光がのぞく。

蛍光灯がチカチカ光っていた。


「え.....」

「あ、すみません!!」

「そうか..俺も、彩音ちゃんの事が好きなのかな..」
「え!」

「ええ!?」

シーン...
テストによくある、光景が広がった。

「んと..えーと俺達は、その..両..想いってコトでOK?」
「え..あ...そうだよね!うっ嬉しい!」

優しく微笑む。

「ごめん...。俺、こういうの鈍感で..
ていうか、恋愛っていうの..初恋はまだ...」

「ええええ!?」

だって、だって...あんなに女の子に囲まれてたのに...

「だから...俺..色々迷惑かけると思う..でも..
よろしくな..あ..あや..“彩音”」

「あ、うん!!こちらこそ“透馬”!!」



今の私は、あの事を忘れていた。

    大切な人に言われた、あの≪約束≫を——


「....これからずっと、一緒に幸せ探していこうな」
「うん!!」

目に涙がたまる。


1秒、2秒と..
彩音が生きられるわずかな時間が削られる。

——時間だけが止まってほしい。


「一緒に、帰ろうぜ」

「本当!?嬉しい!!でも、反対方向じゃ..?」

「え、八番地区だろ?俺も、そこだぜ」
「本当!??やったあ」

ぎゅっ...

初めて≪恋人繋ぎ≫をやった。

よく、町に出ると恋人繋ぎをやってる、カップルをいくつか目にしたことがある。

『ああ、私はこんな事が出来ないまま死んでしまうのだろう』
といつも思っていた。

でも、今は違う。

こんなに、ステキな人と両想いになって
≪恋人繋ぎ≫が出来るのだから——





・・・・「あー道が混んでるわね..」
車に乗りながら、麻優ママは独り言を言っていた。

「うん、本当だね」
麻優が答える。

「あ、そういえば麻優、ピアノの発表会の練習はどう!?」
「うん!平気!!」

「そう..良かったわ」

「楽しみにしててね——...え!?」
車の窓を開ける...と

横断歩道を渡る二人組。

「え...嘘...

彩音と、透馬くん!?」