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Re: 子羊さんとシェアハウス〜獣君の甘いこと〜【9/17更新】 ( No.122 )
日時: 2013/09/18 21:20
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 企画番外編

「……遅い」
「何でこんな遅いんだよ!」
「まあまあ、女の子だし、準備かかるし、ね」
 大時計に向かうと、すでに4人がいて、騒いでいた。
 私からかなり離れているのに、声が聞こえる。
 女の子たちが4人を見つめて、顔を赤くしている。あの顔はやはり反則なんだろうな。
「あ、あの……もし良ければ私達と遊びませんか?」
 女の子二人組が話しかけている。
 あ、やばい……と思い、私は急いで駆け寄る。なんたって、あの人がいるから。
「——へえ、可愛いね。遊ぼうか、俺等と」
 お、遅かった……。
 祐夜さんが微笑みながら女の子達の方へ向かう。
「祐夜さん!」
 私は祐夜さんに駆け寄り、腕を掴む。
「今日は私との約束なんですから、他の子と遊んじゃ駄目ですよ」
 少し高い祐夜さんを見上げる。
 その瞬間、祐夜さんの顔が少しだけ赤くなる。腕を離され、一人で歩いて行ってしまう。
「な、なんで……?」
 私は呆然としていた。女の子はいつの間にかいなくなっていた。
「麻耶ちゃん、その水着可愛いね〜」
「あ、ありがとう」
 皓雨君がそう言ってくれる。
「はやく泳ごうぜ」
 蛍さんがさっさと海へ向かう。
「俺はパス」
 紫季さんが一人パラソルの方へ行ってしまった。
「え、一緒に泳ぎましょうよ!」
「……何でアンタなんかと泳がないといけないの」
 静かに睨まれる。こ、怖い……。
「ほら、麻耶ちゃん、紫季なんか放っておいて行こう?」
 皓雨君が手を引いてくれる。だけど、私は……紫季さんとも仲良くなりたい、と願う。
「……ごめんなさい、先に行ってて?」
 そう言うと、呆れたような笑みを浮かべ、海に向かった。

「紫季さん」
 パラソルの下で寝ころんでいる紫季さんに声をかける。
「……なんで行かないんだ」
「紫季さんと一緒に行きたいので」
 そう言うと、ため息をつかれた。
「……そういえば、彼方がアンタのこと可愛いって言ってた。アドレス教えてくれって」
 なんでいきなり、そんな話になるんだろう、と疑問になりながら私は言う。
「いいですけど……じゃあ、紫季さんのアドレスを通じて教えましょうか!」
 我ながら名案だ。未だに紫季さんのアドレスだけ知らない。
「なんで。紙にでも書けば渡してやるよ」
「いえいえ、そんな面倒くさいことはしません」
 紫季さんの表情が段々怖くなってくるのは気にしない。
 無言になってしまったので、話を振る。
「でも、私その、彼方さんって人のこと全然知らないのですが」
「今から知ればいい」
 段々と答え方が雑になってきている。
「……でも私、紫季さんに興味あるんですよね」
「……は」
 珍しく、紫季さんが動揺しているのが目に分かった。
 ふ、と笑ってから、立ち上がり、紫季さんに手を伸ばす。
「——行きますか」
 しかし、紫季さんは一人で立ち上がり、一人で行ってしまった。
 ま、まあ、泳ぎに行ったことだけで進歩した、ということだろう。

「あ、来た来た、二人とも遅いよー」
「ごめんね」
 やっと、5人で集まれた。
「競争でもしようよ!」
 皓雨君が言い始める。以外にも、皆乗り気だ。
「麻耶は俺とやるか?」
 蛍さんに言われる。しかし……
「あ、ごめんなさい。私泳げないんです」
「……は?」
 4人の動きが止まる。
「お、泳げないのに海に誘ったのか!?」
「はい」
「しょうがねえな……俺らで泳げるようにしてやるよ」
 蛍さんが言い、祐夜さんはため息を漏らし、皓雨君は笑顔で頷く。
「……馬鹿だ」
 一人暴言を吐く男もいるけど。