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　獣君トーク　祐夜side

　某日、俺は藤咲麻耶を訪ねた。

「あれ……祐夜さんが来るなんて珍しいですね」
「——まあな」
　はやくも、麻耶は何かに勘づいたような顔をしていた。
　
　マグカップを二つ持ってきながら、麻耶は俺に聞く。
「それで、何か用があってきたんですよね？」
「ああ。お前、蛍と皓雨のことを知ってたんだろう？　じゃあ、紫季のことも知ってるんだよな？」
　そう言うと、麻耶は怪訝そうな顔して、反応する。
「そうですね……一応。でも、それを私に言うってことは祐夜さんも気付いてるんですよね？　私に」　
　
「私に」という言葉は残酷なほど苦しいだろう。

「……知ってるよ。だからこそ……」






「お前に紫季を救ってほしい」