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Re: 子羊さんとシェアハウス〜獣君の甘いこと〜【prolog更新】 ( No.20 )
日時: 2013/08/09 20:49
名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)

 第1章  子羊さんのもとへ獣君。

 memoryhouse……それは、私が管理人を務めるシェアハウス。多分、普通のシェアハウスの家の倍以上の大きさであろう。
 今日、住民が4人増える。

 私——藤咲麻耶はmemoryhouseで新住民4人を待っていた。
「うー久しぶりの住民! 緊張するな……」
 2カ月前に住民がすべて去って以来、私はこの家に一人だった。
 父親は某IT会社の社長。母はイラストレーター。
 仕事で追われている父に代わって、私はここの管理を任されている。

 その時、チャイムが鳴る。
 緊張を持ちながら私は扉を開けた。
「ようこそ、メ……」
 memoryhousへ、そんな私の言葉は遮られ、強引に彼等は入ってきた。
「な……な!」
 驚きのあまり奇妙な声が出る。
「あーあんた、藤咲麻耶ちゃん?」
「え、あ、はい……」
 最初に入ってきた男の子が私に言う。
 すごく顔が整っている……。
 最初に送られてきた写真を思い出す。多分、彼の名は南沢蛍。
「挨拶とか面倒くさいからいらないよな?」
「は……はあ?」
 後ろから入ってきた3人の男の子も迷いなく上がり込んでくる。
「ま、待って下さい! 挨拶くらいキチンと……」
 そして、私の言葉はまたもや遮られる。
「挨拶って何するの?」
 笑いながら話しかけてくるこれもまた綺麗な人。彼は……南沢祐夜だった気がする。
「君が楽しいことしてくれんの?」
 意地悪な顔で言ってくる。私の顔はきっと真っ赤だろう。
「あはは、可愛いねー君」
 今度は可愛い男の子。この子は南沢皓雨。笑顔の破壊力がすごい。
「……で、僕の相手してくれるんだよね」
 ……こいつもか……。
 そう思ったとき、肩に手が置かれる。
 振り向くと機嫌が悪そうで美形の……南沢紫季。
「部屋番号」
 それだけ言ってまた黙る。
 つまり、言え、ということなのであろう。
 全員分の部屋番号を言うと、皆自分の部屋へ行ってしまった。
 ……取り残された。
「な、仲良くなれるかな……」

 ぎこちない笑いしか出来ない私であった。