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Re: 子羊さんとシェアハウス〜獣君の甘いこと〜【第1章更新】 ( No.25 )
日時: 2013/07/14 14:19
名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)

 第1章 子羊さんのもとへ獣君。

 一人取り残された可哀想な主人公……いや、私はそんなか弱い主人公じゃない。

 各自の部屋の鍵を持ち、4部屋を開けて、強引にラウンジへと連れて行く。
 いくらなんでもこんな自由させてられない。

「改めまして——ようこそ、memoryhouseへ。ここの管理人、藤咲麻耶と申します」
「めんど……」
「私語は慎んで下さいね、蛍さん」
 にっこりと私は告げた。
 他の3人も面倒くさそうにしている。
「……決まりごとにも書いてあったと思いますが、すべての権利は私にありますので」
「ああ……あのよく分かんない決まりごと? あれ、なに? 住み着いても良しって……俺らペットじゃないんだから」
 祐夜さんが言う。
「……ペットじゃなく大きい獣ですよね」
 私が小さく言ったひとり言も皓雨さんは聞き逃さない。
「僕等が獣ってことは……麻耶ちゃんのこと襲ってもいいんだ?」
「……! 今のは言葉のあやで……きゃああ!」
 急に皓雨さんが抱きついてくる。
 蛍さんと祐夜さんは「もっとやれー」とかなんとか言っている。
 なんなんだこの兄弟……!
 その時、皓雨さんが私から離れる。……いや、離された。
 紫季さんが皓雨さんの襟元をつかんでいた。「やりすぎ」と呟き、私から離した。
「あ、ありがとう……ございます」
 私がそう言うと、祐夜さんと紫季さんがさっと立ちあがり、部屋へと戻ろうとした。
 反射的に二人の腕を掴む。
 紫季さんは無言で離す。そのまま戻ってしまった。
「あのさ……俺ら、別にあんたと仲良くする気とかないから。そこ覚えておいて」
 祐夜さんは冷たくそう言い放ち、行ってしまった。
 後ろを見ると、蛍さんと皓雨さんもいなくなってしまっていた。
「……なんで……」
 
 折角、仲良くなろうと頑張ったのに。
 
 これが、私達の最悪の出会い。
 そして、私はなつかない獣君達の餌食となっていく——……。

 
                          第1章 完