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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 子羊さんとシェアハウス〜獣君の甘いこと〜 ( No.61 )
- 日時: 2013/08/06 18:59
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
第3章 子羊さんと皓雨君の話。
私が抱きつくと、皓雨君は少し動揺したように見えた。
「はっ……?! 何して……」
「抱擁」
そういうことを聞いているのではないのだろう。だが私から咄嗟に出た言葉はそれだった。
「私はただの管理人だし、皆のプライベートにまで足を踏み入れたりはしないけど」
一旦言葉を切る。
少しだけ身体を離し、皓雨君の顔を真正面から見る。
「管理人として、皆が悲しくなるようなことは許さないから」
彼はどう思っただろう。
自分勝手かもしれない。
馬鹿みたいなことを言ってるのは分かってる。
けど、管理人として——いや、藤咲麻耶として、そんな悲しい顔をすることは許さない。
「……意味不明。プライベートに入ってきてんじゃん、それ」
痛いところを突かれる。
そこは触れないでほしかった……。
そんなことを思っていると、いきなり皓雨君に身体を引き寄せられる。最初に抱きついたのは私だけど、やっぱりこうされると複雑な気持ちだ。
「……ありがと、麻耶ちゃん」
そう呟いた皓雨君の顔を見ると、それはいつもの可愛くて小生意気な皓雨君の優しい笑顔だった。
第3章 完
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