コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 子羊さんとシェアハウス〜獣君の甘いこと〜【企画中】 ( No.70 )
- 日時: 2013/08/11 11:04
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
第4章 子羊さんの紫季さんに対する頑張り。
重大なことに気づいてしまった私。
そこへ蛍さんはフォローとは呼びがたいフォローをしてくる。
「どうせお前の弁当なんて必要としてないんだから」
「……それはそうかもしれないですけど……」
私は全員分のお弁当を作っているが、唯一食べてくれないのが紫季さんだ。
蛍さんと皓雨君は最初から食べてくれてたし、祐夜さんは1週間くらいで食べてくれるようになった。
毎日、無駄だろうな、と思いつつも作ってしまう。やっぱり、諦め来てないんだろうな。
「……紫季さんの大学ってそんな遠くないですよね?」
「おまっ……大学に乗り込む気かよ?!」
祐夜さんが即座に大声を出した。
「乗り込むなんて常識のないことしませんよ。ただ行くだけです」
「つまりそれは乗り込むというやつじゃ……?」
今の皓雨君の呟きは聞かなかったことにしよう。
「電車ですぐだし……私、行ってきます!」
そうと決まればすぐお弁当を作らなくては。
今の私はもう誰にも止められないのだから!
「——ここ?」
紫季さんが通っていると思われる専門大学か……。
確か、美容師を目指しているらしいが。
「……君、高校生?」
「ひゃっ?!」
いきなり後ろから声をかけられて驚いてしまう。振り向くと、紫季さんと同年代くらいの男の人がいた。
「うわっ、可愛いー! 何? 誰か探しに来たの?」
少し見た目が軽い感じがするけれど、悪い人ではないのかな。
「あ……南沢紫季さんって……知ってますか?」
そう言うと、彼は目を見開いて、私を見据えた。私、そんなにおかしいこと言った?
「あ、あの紫季に彼女がいたのか……?! しかもこんな美人が!」
あ、紫季さんのこと知っているのか。
「へー! すごいなあ……あの釣れない紫季がねえ……あ、ほら噂をすれば、だよ」
彼が目を向けた方に視線をずらすと、そこには紫季さんがいた。
「おーい、紫季!」
紫季さんは名前を呼ばれ、こちらを見る。
明らかに「何でいるんだ」という目をされた。
「……彼方。何でその女と一緒に居るんだ」
「え、彼女じゃないの?!」
この人の名前は彼方、というのか。
「誰がこんな女を選ぶんだ……」
すごく失礼なことを言われた気がする。
「……お弁当、渡しに来ただけなので、すぐ帰りますよ」
バッグに入れていたお弁当を紫季さんに渡す。紫季さんが何か言葉を発する前に私は言う。
「私の自己満足なので、食べてくれなくてもいいです。でも、渡すことはやめませんから」
それだけ告げて、私はその場を後にした。
「……なあ、あの子、紫季とどういう関係?」
「……管理人的な」
「ふーん……じゃあ、俺が狙っていい?」
「……どうぞご自由に」
「あ、お帰りー麻耶ちゃん。どうだった?」
「……見事に振られてきました」
「だろうね」
「予想通り」
「それ以外に何がある?」
皓雨君、祐夜さん、蛍さんの声が重なる。
……涙が出そうだ……。