コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 子羊さんとシェアハウス〜獣君の甘いこと〜【企画中です】 ( No.74 )
- 日時: 2013/08/14 19:10
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
第4章 子羊さんの紫季さんに対する頑張り。
やることが多い……。
合同祭の資料まとめもあるし、テスト勉強、そして同居人達との関係……どうにかして見直さなきゃなあ。
そんなことを考えながら卵焼きを焼く。
朝の日課は5人分のお弁当作りだ。
「なんか、お前ってかなり庶民的な感じだよな」
「え……何でですか?」
後ろから麦茶をついだコップを持った蛍さんが現れる。だからもっと存在感を出してほしい……。
「社長令嬢だろ? 一応。なのに、作るものも……行動も言動も庶民みたい」
なんとも言えない気持ちになる。
「——失礼ですね。じゃあ、皆と身近でいいじゃないですか」
「そういう問題か?」と呟きながら蛍さんは去っていく。
——あれ。そういえば、何で蛍さんが起きているのだろう。いつも紫季さんが一番はやいはずなのに……。
特に気にすることではないかもしれないけど、やっぱり少し心配だし、様子を見に行ってくることにする。
紫季さんの部屋の前で立ち止まり、ノックする。
「紫季さん、朝ですよ。起きなくてもいいんですか?」
返事はない。
——強行突破に出よう。鍵を取り出し、扉を開けた。
「失礼しまーす……し、紫季さん?!」
ベットから半分身体が落ちた状態で紫季さんがいた。下半身は完全にベットの下だ。
「大丈夫ですか? ど、どういう状態ですか、これ……」
とりあえず、身体を抱き起こす。紫季さんはすごく苦しそうだ。額に触れると、熱かった。
いきなり、手をはたかれる。
「いい……さ、触るな……」
「触るなって……そんなに苦しそうなのに一人で何もできないじゃないですか!」
紫季さんは私を睨みつける。
痛いような視線で。
相手を、いや、自分も傷ついてしまうような痛い視線で。
「お前みたいな女に……助けなんて求めない」
その時、私の中で「何か」がはじけた。
「さっきから聞いてれば……我儘で自己中心的で……」
何だろう、これ。言葉が止まらない。
「いいですか? 私はあなたの為に動いてない、自分がしたいように自分で動いているんです」
紫季さんが呆気にとられたような顔でこちらを見ている。急いでキッチンへと戻り、氷枕と冷却シートとお茶を持っていく。もう一度、紫季さんの部屋に入る。
「ここからは自分でどうぞ」
嫌みを込めてそう言う。
途中で終わってしまったお弁当づくりを再開するために、キッチンへとまた向かう。
その瞬間、背中に何かがぶつかってきた。
「きゃ……な、紫季さん?!」
重さに耐えきれず、床に手をつくと、紫季さんが耳元に唇を寄せる。「……さっきから偉そうなんだけど……それでいいの?」
耳元がじんと熱くなる。
「な、なにが……」
「そんな偉そうにしてて、俺が何するのか分かってやってんの?」
制服のネクタイに手をかけられる。抵抗しようと思っても、床に手をついてバランスを保っているため、どうも出来ない。
「だから、俺に何されてもいい覚悟が出来てるから、そういう態度とってんだよね、ってこと」
「そこまでー」
急に、背中が軽くなる。
蛍さんがぐったりした紫季さんをベットに引っ張った。
「け、蛍さん……!」
「ごめんねー麻耶ちゃん」
今度は、皓雨君が現れる。
「紫季さあ、昔から風邪ひくと、こんな風に女の子に手出しちゃうから……気をつけてね?」
もう少し早くそれを言ってほしかった……。
紫季さんは今日一日ゆっくり休むそうだ。
明日、どうなっているのか……不安だ。
第4章 完