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- Re: LOVE・CRAZY【短編…?】 ( No.13 )
- 日時: 2013/07/20 15:30
- 名前: 冬の雫 (ID: JxRurJ5z)
『ワンコな彼 ツンデレ×元気っ子』
プロローグ>>0
彼はいつでも、私のところにやってくる。
クラスが違うのが不幸中の幸いだけど、授業が終わればやってきて、私の分まで購買でパンを買ってくる。
……しかも、私の好きなものばかり。
なんで知ってるのか聞きたかったけど、なんか色々と怖いのでそれはやめておいた。
「先輩買ってきましたー!」
「もういいって言ってんでしょ…。 私があんたをパシリしてるみたいじゃない」
「えっ、オレをパシリ認定してくれるんですか!?」
「なんでそこで喜ぶ!」
…はぁ、この子といると疲れる。
いつもの私じゃいられないというか、気が狂うというか…。
「…っとにかく! もうついて来ないで!」
私が突き放すように彼にそう言って、振り向きもせずに廊下をずんずんと進んで行った。
…すると、前を見なかったせいか、誰かの背中に当たってしまった。
「……っ、あ、すみません…!」
「え? …ああ、いいよ」
目の前にいたのは、理科の兎山先生だった。
兎山先生は二年担当で、私は三年だからこの人と話すのは初めてかもしれない…。
「なんで二年担当の兎山先生がこの階に?」
「いや、ちょっと用事があっただけさ」
「そうなんですか」
失礼します、と言って通り過ぎようとすると、腕を掴まれた。
急に掴まれたので、びっくりして「はいっ?」と少しだけ間抜けな声を出してしまう。
「な、なんでしょうか…」
「君、なんか悩みがあるんじゃない? カオに出てるけど」
「はっ?」
ウソ、私 顔に出てる?
ていうか悩みなんて……
そう思って、ハッと気付いた。
あいつ……。
「…な、悩みなんてないです。ありがとうございます」
「……そう? ならいいけど」
「…っはい……」
私はそう言って、兎山先生の大きくたくましい手から離れてふらふらと廊下を進んだ。
***
…っあぶない……
つい、兎山先生にあいつのことを口走ってしまいそうになった…
「……はぁーー……」
「せーんぱいっ」
「…ひぃっ」
突然視界にあいつが現れた。
もちろんびっくりして、勢いよく後ろに身を引く。
「先輩気分悪いんですか? カオ赤い…」
「はっ? 赤くないわよ!」
「いやいや赤いですって」
ほら、と彼が私の頬を触った。
……そこから温度が全てその部分に集まっていくように、顔がどんどん熱くなっていく。
「……っ…、」
「あーやっぱり。 先輩照れてるんだ!」
「照れっ…!? 照れてない!」
「いやいや、隠すのは良くないですよ〜」
「うるさい!」
何なのコイツ……
ヘラヘラしてるのに、目は本気だ。
いつもはここで、私が話を反らせばあいつはそれに答えてくれるのに。
あいつに初めて触られた。
なんかムカつく……。
「……あんたって……、」
「はい?」
「いや……」
もうこいつは何もかも知っている。
今まで私がこいつを突き放していた理由も、私が赤面した理由も。
……世界は、理不尽だ。
…いや、こいつといる時だけかもしれないが。
こいつといると、私の行動全てが二文字の言葉で片付けられてしまう。
「ねぇ」
「なんです?」
「“好き”」
ほら、ね。
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