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Re: 君の隣 ( No.14 )
日時: 2013/07/19 23:22
名前: 音葉 (ID: myDpNyTl)


「ねぇ、うちって嫌われてるのかな?」
帰り道涼香はいつになく真剣な顔で、落ち込みながら尋ねた

「大丈夫、嫌われてないから安心しな。」
「本当? なんでわかるの?」
「ただ単に、涼香が下手くそなだけだから。」
ため息交じりに奈美は答えた

「まぁしょうがないよ、練習していけば上手くなるよ…きっと。だからがんばろ!りょーちゃん。」

「中学3年間やってきたんだよ!なのにどっか行っちゃうんだもん!」

少し時をさかのぼってみると……

「仮入部者は端っこで各自、アンダーとオーバーの練習ね!」
先輩の声が響いた

奈美と実はさっそく始めていた
ボールは規則的に上がり、真っ直ぐ上に上がり真下に落ちてくるの繰り返し
経験者なのでこれくらいは出来て当たり前なのかもしれない
一方涼香は、ボールをひたすら追いかけていた

「ま、待ってー!」
みんなと違い真っ直ぐ飛ばずどこか違った方向に飛んで行った
1回や2回程度なら周りもフォローしてくれただろう
しかし、すべてがあらゆる方向へ飛んでいく
1度も続かず、とうとう男バレの方にまで飛んでしまった
慌てて取りに行くと、すでに誰かがボールを拾ってくれたようで、本来床にあるボールはなかった

「ったく、相変わらず下手くそ。」
ボールをパスしながら声をかけたのは朔也だった
その顔を見てみると、必死に笑いをこらえているようだった

「別に、今度こそは続けるから。」
「何回ボール飛ばしてるんだよ…」
「見てんなよ!」
「見たくて見たわけじゃねぇし! さっきからこっちでお前が話題になってんだよ!ボール飛ばしまくってる女がいるってな!」
「なにそれー!」

また、言い争いしている2人を眺めながら奈美は呟いた。

「まぁ、しょうがないよな。運動音痴だもん。しかも極度の。」
「あと、すっごーくノーコンなんだよね、りょーちゃん。」

「何枚窓ガラス割ったっけ…。」
奈美は遠い目をしながら再度呟いた

彼女、涼香は極度の運動音痴なのだ