コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 君の隣 ( No.27 )
- 日時: 2013/09/09 23:39
- 名前: 音葉 (ID: myDpNyTl)
番外編
〜2、幼馴染〜
実は朝練に行くことがとても楽しみだった。
涼香から朝練に村田が来ていることを知り、どうしても話すきっかけが欲しかった。
高校に入ってから村田と話す機会が全く無くなってしまい、何としても朝練に参加したかったのだ。
そもそも実がこの高校を選んだ理由は、家から近い公立の高校である、奈美と涼香と同じ高校に行こうと言っていたから、そして
村田充と同じ高校に通いたかったから
これが一番の理由であると実は自分でもそう思っている。
ただ、憧れているだけではない。
きっと、恋しているからだと思う。
そんな恋心が実を朝練に参加するように働きかけた。
待ちに待った朝練。
村田の姿を捜し、真っ先に駆け寄った。
また少し背が高くなってる…と心の中で呟きながら、高鳴る胸を必死に抑え声をかけた。
「お、おはよう。充君。」
どきどきしながら、実は言った。鼓動がさらに早くなり頬も少し赤くなってるのが自分でもわかった。
「おはよう、実ちゃん。朝練参加するんだね。」
昔と全く変わらないような太陽のような明るく、爽やかな笑顔が実に向けられていた。
昔から実は村田の笑顔が大好きである。
「一緒に練習してない?4人はなんか話で盛り上がってるみたいだし。」
「うん!」
奈美と高木、朔也と涼香が何かを言い合っているのを、遠目に見ながら2人は練習を始めた。
「あの2人とよく練習一緒にしてるよな、それにやっぱり女バレに入ったんだよな。」
「え?見てたの?あんな下手くそなところ…。」
顔を真っ赤にしてうつむくと、覗き込むように村田は実の顔を見た。
「別にそんな下手じゃないと思うけどな、十分上手だと思うよ?」
「…ありがとう。」
「ところで、谷口ちゃんだっけ?大輝といつもあんな感じなの?」
指さした先には少し言い争いながらも、スパルタ練習をしている高木と涼香だった。
「ごめん、わかんないかな…。」
「最近、朝学校に来ると大輝が機嫌良くて気になってたんだ。」
「理由わかった?」
首をかしげながら聞いてみると満面の笑みが返ってきた。
わかったということだろう。
「もしかして涼香ちゃんが理由?」
「実ちゃんは気にしなくてもいいの。」
村田はポンポンと2回実の頭に手を置きながら言い、ボールを片付けに向かった。
実は顔を真っ赤にし状況が上手く把握できず、立ち尽くしていた。
「朝練の時間終わっちゃうよ、実ちゃん。」
声をかけられ我に返った実は村田の後を追いかけた。