コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君の隣 【コメ・アド求め!お願いします!】 ( No.30 )
- 日時: 2013/10/04 19:44
- 名前: 音葉 (ID: myDpNyTl)
そんな他愛のない話をしながら歩いていると、もう2階の踊り場まで来ていることに涼香は気が付いた。途中途中の階では文化祭の準備のために看板を作っていたり装飾をしていたりと校舎内のほとんどが文化祭ムードであった。
3階にさしあたったところで、階段の上から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お、いたいた。採寸終わってのんびりしてたら、奈美に涼香の運ぶ手伝いでもして来いって怒られてよ…って高木ぶ……先輩じゃないですか!?こいつの手伝いしててクラスは大丈夫ですか?」
「あー……、いいんだよ、朔也。うん。」
苦笑いしながら答える高木の横顔を納得しながら見つめていると、下からも怒気を含んだ声が聞こえてきた。その瞬間高木の顔が一瞬凍りついた。
「大輝、いいかげん戻ろうか?今から採寸と試着で嫌なのはわかってるよ?でも、大輝がいなくなって俺が怒られたんだから…戻ろうか?」
村田の発言は有無を言わせないほどの迫力だった。特に涼香と朔也を怖がらせたのは、声音は明らかに怒気がこもっていて怒っているのはわかるのだが、村田の表情は満面の笑みを浮かべていたのであった。
「…戻るよ。」
弱弱しく呟き大人しくクラスに戻ることを決心した高木は持っていた暗幕を朔也に渡した。
「ごめんね、涼香ちゃん。大輝はつれていくから。」
「…はい。」
しぶしぶ村田の後を追う高木の背中を見つめ、お礼を言っていなかったことに気づいたがその時にはすでにもう遅かった。
「ほら、さっさと運ぶぞ!お前そろそろ試着の時間だろ。」
「あ、ヤバい。」
朔也の一言で我に戻り急いでクラスへと向かって行ったのだった。
クラスに着くともう衣装が用意されていた。
雪女の衣装は作るのではなく、委員長の着なくなった着物を貸してくれるということとなっていた。
着物は主に白を基調としていて、淡い水色がところどころにグラデーションのようになっていて、とても雪女のイメージにそっくりであった。
その日は試着というよりは着物の着付け教室が開催されていた。委員長の家柄が由緒ある家柄らしく、よく着物での生活をしたりするようで、委員長は着物を一人で完璧に着こなすことが出来るようだ。
何度も練習をすることによって涼香の納得のいく出来になった。さすがに途中は1人ではどうしようもないところがあるため、一緒に手伝いをしていた奈美と実に助けてもらっていた。
「りょーちゃん、すっごい似合ってるよ!」
「うん、なかなかいいじゃん。」
「そうかな?」
鏡に映る自分の姿を見てみると似合ってるかどうかはよくわからなかったが、雪女には見えるかもと心の中で思った。
「ねえ、朔也。似合ってる?」
両手を広げてくるっと1周回って見せてみた。
「馬子にも衣装だな。」
「ちょ、なにそれ!ここはお世辞でも言いから似合ってるとかいいなさいよ!」
「…。はいはい、似合ってるとても似合っておりますー!」
「棒読みならもっといらない!」
言うだけ言って窓の外を見つめている朔也だったが。
その頬が赤く染まっていることは夕焼けのせいなのか、それとも違う意味なのか本人以外知る人はいないかった。
自分の仕事が終わってなかった涼香は、だんだんと減っていく教室で1人仕事を淡々とこなしていた。
ようやく終わったころはすでに外は真っ暗で教室に残っていたのは小道具係の男子が数人残っているだけだった。
外に出てみると人は誰もいなく、心細く感じた。
足早に涼香は家へと向かった。
家まで半分ほど来ると後ろから足音が聞こえた。
だんだんと近くに来る音を聞き走ろうと思った時には後ろから肩をつかまれた。