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Re: 君の隣 【参照700突破感謝!コメント大歓迎!】 ( No.65 )
日時: 2014/07/31 01:11
名前: 音葉 (ID: IpkVD1bf)


「涼香!」
「誰か、早く先生を!」

体育館入り口が騒がしいと思い視線を向けると、谷口が倒れていた。
顧問は部活の半ばあたりに来るため、だれも教師はいなかった。

「教師を呼びに行ってくる!」
そう言うはずだったが口に出た言葉は違った。

「顧問もいないから俺が保健室まで運ぶ。もし、いなくても夏休みでも鍵ぐらい借りれるだろう」
「え、うん。じゃあお願い!」

力なく横たわる谷口のひざ下に手を差し入れ、横抱きに世に言うお姫様抱っこでなるべく谷口の体に負担がかからないように抱きかかえ保健室へと向かった。

自分でもこんな行動をしていて驚いている。ましてや人前でこんなにも大胆な発想は普通思いつかないだろう。担架で運ぶなり、他にも方法があったかもしれないがそんなことを考えるよりも倒れている谷口を見て体が真っ先に動いた。

腕の中にいる谷口は誰が触ってもわかるほど熱く、汗がとどまることなく頬を伝って流れていた。

息を切らしながら保健室に行くと運がよく養護教員がいた。
谷口を抱えている姿を見て、養護教員は目を見開いて驚いたが直ぐにベットへと指示を出してくれた。
今までの出来事を話すと熱中症だろうと言われた。

近くにあったうちわで少しでも体温が下がるようにと扇いでいると、心なしか汗が引いて、呼吸も落ち着いてきた気がした。

谷口が目を覚ますまで居たかったが、顧問への説明や自分の部活もあるからここに長くとどまることは出来なかった。

「俺、部活に戻ります。帰りに谷口を迎えに来ます、家が同じ方向なんで送ってきます。」

後ろ髪が惹かれる思いで、走って保健室から去った。