コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 真実の妖精王国【気軽にコメントしてください!】 ( No.115 )
- 日時: 2014/03/08 20:35
- 名前: 夕衣 (ID: VI3Pf7.x)
11 真相へ
「は、犯人が分かったって…翔太君が言ってたあの人?」
「どうだと思う?それより、みんなを集めよう」
「全員…揃ったみたいね……」
ザー…ザー…
あたしは、外から音がすることに気がついた。そして、窓を開けた。
外を覗き込むと、まるでその時を待っていたかのように雨が降っていたことがわかった。
あたしは、窓を閉める。
「ゴホッ!ゴホゴホ…」
誰かが咳き込んだ。
「大丈夫ですか?アレクさん…」
「ああ。ただのホコリアレルギーなだけだ」
その言葉に、あたしは自分の推理に確信を持った。
そのときに、あたしは翔太君に目で合図をした。
彼は一瞬戸惑った顔をしたが、すぐに理解してくれたみたいで、頷き返してくれた。
「……それでは、本題に入りましょうか」
「早くしてくれない?私達だって忙しいのよ」
サラさんのイライラした声がする。
「では、ご希望にお応えしてさっさと終わらせることにしましょうか。まず、犯人は───」
みんなが緊張した様子で翔太君を見る。
「──マーサさんです」
そこにいた人は、マーサさんと1人を除いて驚嘆していた。
「どうして──私なの?」
「これが証拠です」
あたしは、ポケットから袋を出した。
そこには毛糸が入っている。
「これがどうかしたの?」
「実は、これと同じ種類の毛糸がマーサさんの部屋から発見されたんですよ」
「そ、そんなの偶然よ!それに、毛糸を編んで首を締めるなんてサンドラとアレクにもできるじゃない!」
彼女は精一杯反論している。
「サンドラさんのアリバイの裏付けは取れました。アレクさんはホコリアレルギーだからです」
「な、なんでよ」
はぁ…本当にメイドなの?
「毛糸というものは、ホコリが舞いやすいんです。それが鼻などに入るとくしゃみが出て、唾液がつきすぐ分かります。実際、そんなものはありませんでした」
「ね、ねえ絵梨…」
未陽が口を開いた。
「何?」
「マーサさんって犯行時刻当時、サラさんと一緒にいたんじゃ…」
「ああ…それ。サラさんが共犯だから」
「え!?」
その瞬間、みんなの視線がサラさんに集まった。
「サラさん。あなた、事情聴取のときにおかしなことを言ってましたよね?」
「な、何のことかしら?」
「普通に考えて、寝てるときに誰かが来たなんてわかると思います?」
サラさんは一瞬怯んだ。
「まだあります」
「こ、今度は何よ!」
「犯行時刻を知っていたことです」
「うっ…」
サラさんの顔は、汗だくになっていた。
「そっ、それは…」
「もういいわ、サラ姉さん」
マーサさんが諦めたように言った。
「では…犯行を認めるということですね」
「ええ…」
「──動機を教えてください」
すると、サラさんの口から、衝撃の事実が飛び出した。
「ー女王様は…お金の亡者だったのよ…」
「「えっ!?」」
これにはあたしも驚いた。
あの女王様が…信じられない。
「みんなは女王様のことを優しいって言ってた。でも、私達メイドには優しくするどころかこき使ったわ…」
サラさんは、続けた。
「でも、私はメイド。こき使われてもしょうがない立場だと思っていたわ。あの女の、あの一言を聞くまでは…」
『メイドなんて、こき使われるために生まれて来たんじゃない』
「そう…あの女は私を“ひとりの人間”として見てなかった…だから…」
誰も、何も発さない。
誰も、何も言えないでいた。
その時、ずっとうつむいていたサラさんが顔を上げた。
「サラさ…」
あたしは、口を開きかけたけど、すぐにつぐんだ。
言葉を失った。
──彼女の瞳が…涙でいっぱいだったから…
「さあ、行きましょう」
「…はい」
彼女たちは、エリオスさんに連れられ、部屋の出口に向かって行った。
その後ろ姿は、なぜか、とても切なく、そして寂しげに見えた。