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Re: 真実の妖精王国【参照1000感謝&3章開始】 ( No.204 )
日時: 2014/03/06 21:30
名前: 夕衣 (ID: VI3Pf7.x)

02 そっくりな姉

あたしは、授業が始まっても集中力できずにいた。同じ夢見たわけ考えてたし、何せ数学なんだもん。隣にいる優斗は、一生懸命問題解いてるけど……

その時。

「……ちゃん、りちゃん………」

耳元で聞き覚えのある声がした。小さく、かわいく、まるで鈴のなるような弱い声…

「絵梨ちゃん…」

今度ははっきりと、あたしの名前を呼ぶ声がした。ねえ、どこにいるの…?

「…絵梨、どうしたんだ?授業中だろ。もしかして、具合悪い?」
「な、何でもないよ!」

もしかして、この場じゃ出れないのかな?そしたら…あの子だよね。

「まぁ………だけど」

またあの声。

「ったく……はぁ…」

あたしは、色々な意味で大きくため息をついた。

「お前、やっぱ保健室…」
「だから何でもないってば」

優斗が珍しく心配してくれたけど、あたしは素っ気なく答えてしまった。なんでだろ、素直になれない……







間違いない。あの声は、あの子ーつまりアリアちゃん。彼女はあたしたちの友達だもん。

「何ひとりでゴチャゴチャ言ってんのよ。合って……ないけど」

あ、合ってない…?アリアちゃんじゃないの!?じゃあまさか…

「変質者!?!?」
「違うわよ、失礼ね。私はアリアの姉、アリサ」
「……え、アリアちゃんってお姉ちゃんいたんだ…ごめん、疑って」
「ううん。気にしてないわ」

そっくりなふたり。三つ編みの数で見分けるしかないな…

「でさ、アリサちゃん。アリアちゃんどこ?Where's Aria?」
「何で英語なのよ…」

え、別にいいじゃん…習ったばっかの英語って使いたくならない?

「ならない。あの子、風邪引いちゃって家で寝てるのよ」

わー心読まれた怖ーい。

「その家ってどこにある?あたし、どうしても彼女に聞きたいことがあるの」

それは、あたしと優斗が同じ夢を見たわけ。

「良いわよ。でも、条件があるわ」
「なに?」
「あなただけじゃ心配だから、隣の席の子…彼を呼んできて。それと、かわいくコーディネートしてくること!じゃあ、4時に小梅ヶ丘公園に来てね〜」

“彼を” “かわいくコーディネート”

このふたつの意味って?

「ねえ、アリサちゃ…」

見上げたときには、もうアリサちゃんはいなかった。そして、あたしの顔はなぜか熱を帯びていた。