コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 真実の妖精王国【オリキャラ募集再開】 ( No.215 )
- 日時: 2014/02/14 15:37
- 名前: 夕衣 (ID: VI3Pf7.x)
05 思わぬ再会
[side less]
アリアがいなくなった、その頃。
翔太と未陽は、彼らと同じく妖精王国に来ていた。
「すみません!」
翔太は近くにいた女性に声をかける。
「あら…なあに?」
「アリサという妖精を見かけませんでしたか?僕たち、その人に会いたいんですけど……」
翔太がそこまで言うと、女性はさっと顔色を変え、彼らを警戒し始めた。
「あなたたち…まさか……」
その女性はつぶやき、そのまま逃げるように家の中に入ってしまった。
「え?ちょっ……!」
*
[絵梨side]
「一旦休憩しようよ。疲れたでしょ?」
「ああ。……へっ!?」
「わっ!」
あたしは優斗の声を聞き、その大きさのあまり座っている切り株から落ちそうになった。ったくなんなんだお前は。
「今さ。翔太と未陽っぽい人が見えたんだけど…」
「は?」
未陽たちもいるの?ナンデ?
まっさか呼ばれたとかじゃないよね……でも気になる。見間違いとか言うなよ、優斗!
「追っかけてみるか?」
「そうね……でも、アリアちゃん優先だよ?」
あたしの返事を聞いたのか聞いてないのか知らないけど、優斗はまっすぐ迷わず走って行った。
……人の話は最後まで聞きましょうって習わなかったっけぇっ?
──この時は、誰も知らなかった。
この出会いによってあたしの運命が左右されるということを……
*
どんっ。
突然誰かに背中を押され、あたしは前によろけた。誰かと言っても、この時あたしのそばにいるのは優斗しかいないわけだから犯人は彼しかあり得ないんだけど。
だからあたしは優斗を睨んだ。
「背中押さないでよ、危ないじゃない!ふざけてる場合じゃ……」
「…え、オレじゃないよ?」
「嘘だぁー」
くす。
「!!」
今、茂みの向こうから声が……!
「ちょっとあたし、確かめてくる。あの辺怪しい。でもまだ疑ってるからね!」
「あのなぁ…」
抜き足。
差し足。
し〜の〜び〜あ〜しぃ……
あ!
「未陽?翔太君!」
「お前ら、どうしてここに?」
犯人(未陽)はちっとも反省する様子もなく、“てへぺろ♪”とウインクしてる。そんなことされたらこっちは“激おこぷんぷん丸”になるぞぉ。
「実はね……」
「……え、アリアちゃんに頼まれてアリサちゃんを探してる!?」
あたしは思わず優斗と顔を見合わせる。彼も驚いた表情をしていた。
「ど、どしたの?」
「オレたち、ちょっと用があってアリアを探してるんだ。途中でアリサにも会ったし」
言ってよかったのかな、それ……
ま、昔から優斗は遠慮なんてしない子だったけど。
「一応、携帯は持ってるから連絡してみるね」
あたしは未陽に携帯─スマホをみせた。おそらく機種はグレープ社のe-phone(イーフォン)。“良い”と“e”をかけたらしい。寒。
ぴぽぱ…
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
「え!?」
「どうした?まさか、繋がらないのか?」
「繋がらないというより……」
あたしは優斗に携帯を渡す。彼はそれを受け取り、耳に当てた。
そしてあたしの言いたいことをわかってくれたのか、こちらを見、アイコンタクトを求めた。あたしはそれに応じてうなずき返す。
「……翔太、アリアに掛けてくれ」
「う、うん…」
携帯を耳に当てる翔太君。彼は、かけてから5秒も経たないうちに顔色を変えた。そして首を横に振る。
「おかしい、な……」
優斗の額には、うっすらと汗が滲んでいた。
──でもこの事態は、ほんの序章に過ぎなかったんだ。