コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 真実の妖精王国【mystery in the forest】 ( No.250 )
- 日時: 2014/04/29 16:03
- 名前: 夕衣 (ID: VI3Pf7.x)
12 新しい答えと新しい疑問
ひとり残されたあたしは、切り株に座り退屈な時を過ごしていた。だってみんな忙しそうなんだもん。
「あっ」
未陽がさっきのメモを置いて行っていることに気がついた。プライバシー的に開こうかどうか迷った。でも、あたしにだって親友として内容を知る権利はあるわけだからと思い1枚紙をめくった。
『えりにきくこと』
①すきな動物…うさぎ
②信頼できるひと…15人くらい
③妖精王国でのトラブル…
未陽らしい字で、そう書かれていた。果たして、これらの質問は…一体何に使われるのだろうか。
そのとき、パタパタと足音が聞こえたため、あたしはサッと元の場所にメモをもどした。
「ごめんな、待たせて」
優斗だ。未陽じゃなくて安心した。
顔色が大変なことになっている。
「だ…大丈夫?」
「ああ。心配するな。それより未陽」
彼はくるっと未陽の方に顔を向けた。瞳が大きく開かれている。
「結果は?」
「あ、うん……あれ、どこ行ったかな」
未陽はワンピースのポケットを探る。どうやらあのメモを探しているようだ。
「メモ、ここにあるけど…」
「あ!」
あたしのそばにあったそれを未陽は持ち上げた。そして大事そうにポケットにしまった。
「ありがと。確認するけど、見てないよね?」
ぎ、ぎくぅっ。
「…み、見てないよ」
冷や汗をタラタラ流しながら、あたしは引きつった笑顔でそう答えた。やばい、バレる……
「ま、見たところでわかんないとは思うけどね」
「え?」
なら良かったです。ハイ。反省。
「で?」
「あ、そうそう忘れてた。①は…」
ふたりはあたしに聞かせたくないのか、そばを離れていった。あたしも少し遠回りをして優斗たちの会話が聞こえるところに移動する。
なんか……その、優斗が構ってくれないとモヤモヤする。他の子と話していたらなおさらだ。
「………そうか。③はどうした?」
「聞こうとしたら、あのひとがいたから」
あのひと……?誰だろう。あたしの知っているひとかもしれない。さらに聞き耳を立てた。
「……ゆう…」
誰か聞けると思ったのに、そこで彼らは移動してしまった。まさか…盗み聞きがバレてしまったんじゃ……
しかし『ゆう』ってなんだ。誰よ。
しばらくの黙考のうち、あたしの中でひとつの結論が出た。
───もしかして未陽たち、
事件に巻き込まれてるんじゃ……
事件で『ゆう』と言えば…
“誘拐”だ。
*
「絵梨は、うさぎさんが好きなんだよね?」
「ええ」
「だったら…こんなのはどうかな」
それを聞いた未陽は、にっこりと笑った。