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Re: 真実の妖精王国【イラストあり】 ( No.259 )
日時: 2014/07/11 17:37
名前: 夕衣 (ID: OBZwk3oo)

13 辛い嘘


なんだか、心がすっきりしない。

その理由は言うまでもなく、彼ら──優斗たちにあった。
要するに、かまってほしいということである。
でも彼らはまるであたしなんか最初からいなかったかのようにせっせと行ったり来たりを繰り返しているだけだった。

「ほんとにもう…やれやれだよね」

そう独り言をつぶやき、あたしは何気無く視線を下に向ける。しかしあたしはそこにあったものを見た瞬間、心がときめいた。
そこには無数のうさぎたちがいたからだ。ざっと15羽……動物の中で最も好きなうさぎを見て、あたしが冷静でいられるわけがない。
もちろんすぐさまその中へ飛び込んで森の奥へとかけて行った。


────遠くでみんなが目を光らせているとも知らずに。





「よしっ」

木の陰から様子を見ていた優斗は、やや興奮ぎみにガッツポーズを決めた。

「うまくいったね!」

未陽もほっと胸を撫で下ろす。絵梨は疑い深い性格のせいかなかなか罠にかからない。しかし彼らは彼女の弱点である、うさぎを見つけることができたのだ。どれもこれも穂乃───動物好き天然少女のおかげだった。

「ありがとね、穂乃ちゃん」
「いえいえ〜。役に立てたなら、よかった」

穂乃はそう言ってにこっと笑う。この緊迫した空気の中、柔らかい雰囲気を作り出していた。

「それより、次はどうするの?」
「あ、うん…えっと、e-phone7cを使うの」

彼女がバッグから取り出したのは、先ほどのものとさほど見た目が変わらない普通のスマートフォンだった。

「えっ、でももうGPSは使えないんでしょ?」
「あるでしょ、他の方法」

周りにも問いかけてみると、理解したひととしていないひとが半々ぐらいいた。

「着信音」

みんなが声のほうに顔を向ける。

「マナーモードにでもなってなかったら、結構使える方法だよ」
「その通り。GPSが効かないってことは、地下に埋められているか、電波の届かない圏外にあるかなの」

未陽はみんなに説明を始めた。

「電源が消されてるかもしれないじゃん」
「大丈夫よ。あの腕につけるヤツ、電源切れない…っていうか、消せないの」
「どうして?」
「わかんないけど…とにかく、大丈夫なの!」
「……そ、そう」

切れない、消せないと言い張る未陽の剣幕に押され健吾はひるんでいた。内心、なんでだろうと思っていた。

「とりあえず、鳴らすよ」
「待て待て待て!!!」

優斗が慌てて取り上げる。

「なによー」
「音、聞こえるのか」
「……あ」

……こいつ、大事なこと忘れてやがる。
優斗は頭を抱えたくなった。
するとそこに救いの手が差し伸べられた。

「大智君がいるよ」
「……だ、大智?」

穂乃が彼の方を向く。当の本人は事態を理解していないようで、不思議そうにこちらを見ていた。

「オレ?」
「そういえは大智、聴力テスト学年一だったよな」
「え、なに、なん……あ」

ふと動きが止まる。一瞬だけ、時が止まったように感じられた。大智は真剣な顔をしている。

「……なんか聞こえる。ルルル…って」

未陽はそれを聞いて思わずピースサインを後方に向けた。無邪気な笑顔だった。
そして周りもそれに応じて親指を立てたGOODサインを返した。

「大智君、どっちから?」
「あっち」

彼が指差したのは、トロワ川の北西部───優斗と絵梨がアリア捜索に当たっていた場所だった。

「とりあえず、二手に別れよう」

優斗の提案に、異議なくみんながうなずいた。




♪後書き♪

お久です。ε-(´∀`; )
テストのあと即更新するとか言っときながらテストから1ヶ月以上経っちゃいました。本当に申し訳ありませんんんんんっ!!
次の更新も……遠いと思いま((殴

でっ、できるだけ早くします!!!