コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 夕闇茜空【共通ルート】 ( No.6 )
- 日時: 2013/11/30 17:04
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)
【第一話】
そして、夏休みがやってきた。
私は特急電車の車窓から、移り変わる景色を眺めていた。
あと三十分ほどでx県の中心都市にある駅に到着する。
そこで電車を乗り換え、二駅を超えたら、白金駅に着く。そこで遥姉さんが待っているとのこと。
滞在中…というか夏休み中はずっと、遥姉さんが旦那さんと住んでいるお家に
居候することになっている。
終業式の翌日に白金町へ行き、始業式の二日前に帰ってくる、ということを聞いたときは驚いたが、
強大悪霊が現れる前後は、何らかの余興なのか、
悪霊の数が大幅に増えるというので、納得できた。
ちなみに、強大悪霊が現れるのは、八月の中旬らしい。
つまり今年の夏休みは、学校の友達とは一切遊べない、学校の課外や部活ができない、ということだ。
友達には「二学期遊ぼうね!」と言ったら「おk!」と笑顔で返事をしてくれた。
課外については、「白金町にある白金高校の課外を受けさせてもらう」ことで解決した。
なので、制服を持ってきている。
部活——所属している華道部は、もともと部活日数が少ないので問題なし。
ちなみに学校には「法事で白金町に行く」と言い訳してある。
「祈祷師仲間もだけど…学校も楽しみだなぁ…」
課外を受けさせてもらう白銀高校は、二年前までは男子校だったらしく、女子生徒はほんの数人、
しかも一、二年生にしかいないとのこと。
私が通っているのは共学だから、あまり問題はないと思う。
「でも、浮かれてちゃだめだよね。本来の目的は悪霊払いだもんね」
自然豊かな景色を眺めながら、私は気を引き締めた。
- - - - - - -
およそ四十分後、大きな問題はなく、白金駅についた。
しかし遥姉さんから一通のメールが。
『ごめん、五分くらい遅れそう。南口で待っていて(´・ω・`)』
「五分くらいでメール寄越すなんて姉さんらしいな…。
ってか顔文字使うとかかわいいなぁ…」
一人ニタニタしながら、南口にあるベンチに座った。
駅周辺は多くの人が訪れるため、自然と発達する。白金駅も例外ではなく、
駅ビルはないが周りにはショッピングモールや商店街があり賑わっていた。
田舎だと想像していた町とは違い、普通に市みたいだ。
「遥姉さん、そろそろ来るかな」
そう呟いたその時、足元に何かが転がってきた。
「ん…?」
見ると、そこには一個の夏みかんがあった。
「あ、すみませーん!」
ふいに聞こえた声が自分に向けられたものだと気付き、顔を上げた。
そこには、こっちに向かって走ってくる、一人の男子がいた。
「それ投げてくださーい!」
なるほど、この夏みかんはあの男子のものなのか。
「はーい!」
私は夏みかんを取り、放り投げた。男子がうまくキャッチする。
「あざまーす!!」
と、頭を下げた男子に——感じた。
(…霊力…!?)
でも、これは悪霊の放つものではない。
これは…遥姉さんや浄化系の祈祷師から感じ取ったことのある…
茫然としているうちに、男子は走り去ってしまっていた。