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- Re: 夕闇茜空【共通ルート】 ( No.7 )
- 日時: 2013/11/30 17:07
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)
【第二話】
男子が走っていった方角を茫然として眺める。
「今のって…?」
首を傾げたその時、懐かしい声がした。
「サヨちゃーん!」
はっとして聞こえた方を向く。すると、走って来る遥姉さんの姿があった。
「あ!遥姉さん!」
私も走り寄り、そのまま遥姉さんに抱きついた。
「久しぶり!サヨちゃん」
「会いたかったよぉ〜」
改めて遥姉さんを見る。少し小柄な身体に、綺麗な黒いロングヘアー。
モデル顔負けの美人さんだ。
また、綺麗なのは容姿だけではない。性格も淑やかで心優しい。
とどのつまり、私の従姉はマジ天使!ってこと。
「ごめんね、待たせちゃって」
「ううん、気にしないで」
「ありがとう。じゃあ、家まで案内するね」
遥姉さんの車に乗り、私達は駅を後にした。
「ここから車で十分ほどよ。
あと、言い忘れていたけど、夫も元祈祷師だから、気を張らなくていいからね」
「そうなんだ!元ってことは、攻撃系の祈祷師?」
「ええ。もともと白金町に住んでいる人なの」
「へぇ〜。で、いつから付き合っていたの?」
「さ、サヨちゃんも恋バナするようになったのね…」
そんな会話をしている間に、二ノ宮家に到着。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
玄関に入ると、端正な顔立ちの男性…遥姉さんの旦那さんが出迎えてくれた。
「二人とも初対面ね。こいつが主人の純平よ」
「はっ、初めまして、町田沙依です。これからよろしくお願いします!」
少し緊張しながら頭を下げると、純平さんは微笑んだ。
「ああ、君の事は遥から聞いているよ。俺は二ノ宮純平。元祈祷師だ。よろしく」
その笑顔を見て、やっぱり美女は美男と結ばれる運命なんだな…と思っていた。
「サヨちゃん、まだ町に着いたばかりだけど…今回の件について説明してもいいかしら?
もちろん無理にとは言わないからね」
今回の件…つまり悪霊のことだろう。
「大丈夫だよ。私も早く知りたいから」
遥姉さんと純平さんに促され、私は客間に移動した。
椅子に座ると、遥姉さんが話し始めた。
「じゃあ、早速概要を…話したいんだけど…」
遥姉さんはそこで言うのをやめ、純平さんと顔を見合せ苦笑した。
「え?どうしたの?」
はてなマークを浮かべる私に、ケータイを手に持った純平さんが言った。
「どうやら、この町の祈祷師…君と一緒に退治することになる奴らが、
今すぐ君に会いたがっているようでね」
「えっ!?」
心臓が大きく跳ねる。
「だから、先にそいつらと面会するのでいいかな?」
「は…はい!」
純平さんは軽く頷き、白いカーテンがかかった窓に向かって言った。
「おーい!入ってこーい!」
え?そ、そこから!?
私が驚く間もなく、窓が開き、カーテンが捲られた。
「失礼しまーす!」
そして、四人の人間が、客間に上がってきた。
さっきの声の主と思われるやや茶色い髪の男子に、
前髪をヘアピンで留め俯いている男子、
一番背が低く、むすっとしている男子、
茶色い縁の眼鏡を掛け、にこにこしている男子。
全員、私と同い年くらいの男子だった。
その上、四人の中には…
「あ…さっきの!」
茶髪の男子を見て、思わず声を上げた。
間違いない。さっき南口で夏みかんを投げてやった男子だ!
本人も気付いたらしい。
「あぁ!駅で会ったよね!君が例の祈祷師だったのかぁ〜」
その言葉に、はっとする。
「えっと…この人達が、白金町の祈祷師…なんだよね?これで全員?」
遥姉さんがうなずく。
「ええ。言い忘れていたけど、全員サヨちゃんと同い年の男子なの」
だ…男子だけえぇ!?
茫然とする私に、四人の祈祷師は言った。
「これからよろしくな!」
「…よ、よろしくお願いします…」
「別におれたちだけでもよかったのに」
「いいじゃん、女の子いたほうが華やかだし!」
私…男子だけの中で、やっていけるのかなぁ…?