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Re: 夕闇茜空【共通ルート】 ( No.10 )
日時: 2013/11/30 17:11
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)

   【第三話】



「あ…はい、よろしく…?」
 色々なことが頭の中を巡っているめ、たどたどしい返事をする。

 そんな私を気遣ってか、純平さんは呆れた表情を四人に向けた。
「お前ら…驚かせたかったんだろうが、逆に沙依ちゃんを困らせてどうするんだよ」

 その言葉に、背の低い男子が反論した。
「主におれを見んなよオジサン!おれはそんなこと思ってなかったし!」

 すると、メガネの男子が笑顔で言う。
「あれ〜?それにしては入る直前、一番ニヤニヤしてなかった〜?」
「う、うるせぇ!してねえし!」

 喚く彼に、駅で会った男子が宥めるように言った。
「まぁまぁ落ち着けよ。それより、そいつに自己紹介しないと」
「そうね。さ、四人とも座って」
 私の隣に座る遥姉さんが、向かい側のソファをすすめた。

 四人が向かい側に、純平さんが遥姉さんの隣に座る。
 まずは私から自己紹介すべきだと思い、口を開いた。
「c県から来た町田沙依です。
 知っての通り祈祷師で、自然物を操ることができます。
 確か、皆と同い年なんだよね。えっと、これからよろしくお願いします!」
 ぺこり、と頭を下げる。

 するとすぐに、駅で会った男子が声を上げた。
「サヨリって言うのかぁ。よろしくな!お前、自然物を操れんの!?すげー!」
 そう言って目を輝かせている。私が返事をする前に、彼は自己紹介を始めた。

「オレは月村圭太!刀使いなんだ。
 オレらのことはみんな名前で呼び捨てでいいよ。
 お前のことはサヨって呼ばせてもらうからな」
 彼…圭太は、明るい性格のようだ。

「じゃあ次、アサ!」
「えぇっ!僕!?」
 圭太の隣、左端に座っているヘアピンの男子が、びくっと肩を震わせた。

「おいおい、そんな怯えんなよ。サヨは今日から仲間なんだから」
「わ、分かったよ…。そうだよね」
 ヘアピン…アサと呼ばれた男子が、私に向き合う。

「は…初めまして。時和旭です。弓矢を使っています。その…よろしく」
 そう言って、すぐに俯いてしまった。
 今時珍しい内気な男子だ。

「次、おれな」
 さっき喚いていた男子が口を開いた。身長が低い割に声は大人びている。
「えー、俺がしようと思ってたのにー」
「最後にするのは癪だから」
 何が癪なのだろうか…。

「南凌輔。槍使い」
 ぶっきらぼうにそれだけ言った。
「…え?それだけ?」
「そ、そうだ」

 すぐさま目をそらされてしまう。
 えっと…凌輔だっけ。もしかして嫌われたとか…?

 不安になっていると、メガネの男子が笑って言った。
「こいつ重度のツンデレなんだ。だから気にしなくていいよ。
 そのうち沙依にも馴れるさ」

「うるせぇぞトモ!動物みたいに言うな!」
「あーはいはい」
 適当な返事をして、智晴と呼ばれたメガネ男子が私のほうに向き直った。

「俺は佐野智晴。銃使いだ。
 こいつらからはトモって呼ばれているけど、お前には智晴って呼ばれたいな」
「じゃあ…智晴ね。よろしく」
「ん、こちらこそ」
 右手を差し出されたので、私も右手を伸ばして握手をした。

「そういえば全員武器使いなんだね」
 私が言うと、圭太がうなずいた。

「そうなんだよ。
 だから、サヨみたいな攻撃系術使いと会ってみたかったんだ」
「私も遥姉さん以外の攻撃系祈祷師に会いたかったんだ。
 今までほとんど一人で悪霊払いしてきたから」

 そう言うと、全員が驚いた表情をした。
「ひ、一人で!?」
「うん。だから、集団戦とか慣れてないから、皆の足を引っ張るかもしれないけど…」

「そんなことないって。
 俺達、小さい頃から一緒に悪霊払いしてるから、自然に乗っかってくればいいよ」
 智晴がにこにこしながら言った。

「うん、ありがとう」
 何だか嬉しくなって、私は精一杯の笑顔を返した。


「じゃ、自己紹介が済んだところで、本題に入りましょうか」
 遥姉さんの言葉で、私は気持ちを切り替えた。

「そういや俺達も説明を受けるのは初めてだな」
「え、そうなの?」

 驚いて聞き返すと、純平さんが補足した。
「ああ、いっぺんに説明したほうが楽だからね」
「そういうことだと思ったな」
 凌輔の言葉を無視する純平さん。
 この二人、結構親しい仲なのかな?

 遥姉さんが続ける。
「私たちが今から話すことは、この町に住む浄化系の祈祷師から聞いた話よ。
 で、単刀直入に言うけど…」
 それは、驚くべき事実だった。

「白金町に現れる悪霊は、非常に特化したもの…最早、妖怪と呼ぶに相応しいものなの」