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- Re: 君と進む未来なら【圭太編 更新しました】 ( No.102 )
- 日時: 2013/12/14 16:47
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)
【圭太編 第六話】
徐々に明るさが戻ってきて、私は目を開いた。
すると、目の前に圭太がいて、私の顔を覗き込んでいた。
——ドキッ、と思わず心臓が音をたてる。
圭太が声をあげた。
「あ、サヨ起きた!よかったぁー」
私は寝かされていた状態から身体を起こした。
そうか、私気を失っていたんだった…。
おそらく、圭太が言っていた『契約の負担』とはこのことだったのだろう。
思えば史人さんとの仮契約の時も気絶していたっけ。
「ここは…?」
尋ねて辺りを見渡す。
シンプルな勉強机に、本棚に、私が陣取っているベッド。
ここってもしかして…いや、もしかしなくても…。
圭太が答えた。
「オレん家のオレの部屋だ」
「あ、やっぱり」
そう頷きながら目に入った時計は、午後五時を指していた。
三時間くらい眠っていたんだ…。
不意に、圭太が神妙な顔つきで言った。
「でさ、オレ、親にさっきまでのこと全部話したんだ。
サヨと契約を結んだことも…」
保護者への報告…しなくてはならない仕事だ。
私も遥姉さんたちに話さないと…。どんな反応をするのか、少し怖いなぁ。
でも、私はそれよりも不安なことがあった。
「で、ご両親は何て言っていたの?」
「『お前の決めた道だから口出しはしない』ってさ。
呑気な親でよかったよ」
「そうなんだ。よかった…」
これでご両親に複雑な気持ちを抱かせてしまったら挫けてたよ。ほっ。
と、その時、部屋のドアがノックされた。
そして、外から聞き慣れた声が。
「圭太、入るぞ」
がちゃ、とドアが開かれ、智晴と凌輔、旭が入ってきた。
「みんな来てくれたんだ!」
私はベッドから出て、三人の前に立った。
智晴は私を見て微笑むと、真剣な表情をして言った。
「何があったのかは聞いた。で、俺たちが聞きたいのは…」
凌輔が私に目を向けて続ける。
「圭太がこの先することは分かった。けどサヨリはどうするんだ?」
圭太がすること…言わなくても分かる。九頭竜を倒すことだ。
それなら私の答えも決まっている。
「私は圭太についていく。どんな道に進もうとも」
そう答えると、肩に手を置かれた。
圭太だ。
「サヨがこう言ってくれるから、オレは九頭竜に立ち向かうと決意できたんだ」
「圭太…」
再び鼓動が速くなるのを感じていると、智晴が微笑んで言った。
「そうか、分かった。俺たちもお前らに協力するからな」
「困ったことがあったら何でも言ってね!」
「おれみたいに無理すんじゃねーぞ!
ったく…トモも純平も説教長ぇんだよ…」
旭と凌輔もそう言ってくれた。…って、説教?
「あんな暴走するからだ」
口を尖らせる凌輔に、智晴が苦笑した。
すると、それを見ていた旭が、慌てた様子で私に頭を下げた。
「そ、そうだ!沙依ちゃん、この前はよそよそしくてごめん!」
「二人とも…」
私は二人の様子に暫くぽかんとしていたが、ようやく理解できた。
どうやら、旭も凌輔も元に戻ったみたいだ。
おそらく智晴や純平さんに改心させられたのだろう。
二人とも大丈夫そうだ。よかった…。
そう確信し、私はほっとしたのだった。