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- Re: 夕闇茜空【共通ルート】 ( No.16 )
- 日時: 2013/07/31 12:27
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: KZLToguX)
【第七話】
「うおおぉ!サヨすげえ!」
一歩後ろで様子を見ていた三人が駆け寄ってきた。
「あれが術使いの技なんだ…!」
「改めて見るとすげえよな〜」
褒められることに慣れていないため、私は少しオロオロしてしまった。
「りょ、凌輔も凄かったよ!槍使ってるところもそうだし、特殊能力も!」
凌輔は例の如く、顔をみるみる真っ赤に染めた。
「なっ…せ、世辞とか聞きたくねえよ!」
そんな凌輔に智晴がやんわりと言う。
「取り敢えず凌輔、槍を戻そうぜ」
「おっと、そうだったな」
その直後、槍は瞬時に姿を消した。
「ほえぇ〜」
やはり驚いてしまう私に、智晴が説明してくれた。
「凌輔の特殊能力——空間転移は、遠くにある物を自分のもとにテレポートすることが出来るんだ。いつもは俺達の武器も一緒に召喚してもらうんだけど…」
凌輔が続けて言う。
「それがどこにあるか分からないと転移できないんだ。で、智晴達は昨日、武器を手入れ屋に出したから、武器がある場所が分からなかった、ってこと」
「へえ…なるほどね」
私は納得して頷いた。
「ねぇ、凌輔以外はどんな特殊能力を持っているの?」
まず旭が答えた。
「僕は視力向上の能力だよ。弓矢は銃と並んでこの能力が活かせるんだ」
「そういったことを考えて武器を選んでいるんだ。頭良いよねぇ…」
「俺は結界を張る能力。防音効果があるから、結界を張ることで銃声を消しているんだ」
「結界!?それはまた凄いね!」
「だろ〜?あ、これ凌輔の真似ね」
「おれそんなことしねえし!」
また智晴は凌輔に叩かれていた。
「皆凄いね。圭太は?」
すると、圭太から意外な言葉が返ってきた。
「オレ、持ってないんだ」
「——えっ?」
圭太はいつものように笑いながら続けた。
「オレの先祖や親父は持ってんだけどさ、何でかオレだけ持たないで生まれてきたんだ」
——その笑顔に一瞬陰りが見えたのは気のせいだろうか。
智晴が横から口出しした。
「でも、圭太は俺達の中では一番運動神経がいいよな」
圭太が笑って返す。
「ははっ、武器が刀ってこともあるしな」
それを見て、智晴たちはほっとしたような表情になった。
やっぱり三人とも、他の祈祷師とは違う圭太のことを気にしているんだ——。
圭太が明るく言った。
「よーし、悪霊も払ったことだし、町案内を続けんぞー!」
「そうだね、再開だね」
「おれ帰りたいんだけどブッ!?」
「ったく、一番楽しんでるのはどいつだよ〜?」
私は笑いながら、四人について行った。
「ただいまぁ〜」
午後五時頃、私は二ノ宮家に帰宅した。
「おかえり〜。どうだった?白金町は」
「田舎っぽいところがよかった!」
「そ、それ褒めてるの?」
「褒めてるよぉ〜」
私達は笑い合った。
「そうだ、サヨちゃん」
遥姉さんが思い出したように言った。
「なになに?」
「月曜から学校よね。だから明日、先生方に挨拶しに行こう」
「あ、そうだったね」
私が課外に参加する白金高校は、駅の近くにあった。校舎は私が通っているところより小さかった気がする。
「確か白金高って、男子が圧倒的に多いんだよね?」
「そうよ。元男子高だからね。一組には女子が一人いるって聞いたけど」
「え、一人!?」
それには驚いた。
「まあ、サヨちゃんならすぐに馴れるって!」
「そうかなぁ〜?」
首を傾げながらも、七日ほど通うことになる高校に思いを馳せるのだった。