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- Re: 君と進む未来なら【凌輔編】 ( No.198 )
- 日時: 2014/01/19 17:31
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: 4n3MlAWB)
【凌輔編 第一話】
私が一番気になるのは…。
ぱっと思い浮かんだ名前を呟いた。
「凌輔…」
がむしゃらに悪霊を祈祷している凌輔。
そんな彼が、一番気になるし心配だ。
私は立ち上がり、部屋から出た。
今は昼間だから悪霊はまだ出てこないだろう。
だとすると、凌輔は今何をしているだろう。
もしかしたら、悪霊スポットである白夜湖で、
夕方になるのを待っているかもしれない。
というわけで、私は白夜湖へ向かうことにした。
最寄りのバス停で降り、小走りで白夜湖へと近付く。
湖が見える位置まで来ると…
予感は的中したようだ。
湖のすぐそばで立ちすくんでいる凌輔の後ろ姿を発見した。
私は走って名前を呼んだ。
「凌輔ー!」
すると、凌輔は肩を大きく跳ねさせて、ばっと私のほうを向いた。
「さ、サヨリ!?」
驚いた表情を浮かべる。
私は彼のもとに着くと、息を整えてから凌輔と向き合った。
「凌輔…聞きたいことがあるの」
「な、何だよ?」
戸惑ったような顔をする凌輔に、私は言った。
「何でそんなに悪霊を倒したがっているの?」
途端、凌輔は顔を赤らめたかと思うと、私から目を逸らした。
「な…何でもいいだろ。別にサヨリとは関係な…」
——隠さないでよ。
私は凌輔の手を掴んでいた。
「い、いきなり何だよ!?」
「……何で…」
私のその言葉に、凌輔が身体の動きを止めた。
「…何で、隠そうとするの?」
そう言って顔を上げた私を見て、凌輔が目を見開く。
私が凌輔を思いっきり睨みつけていたからだ。
「さ、サヨ…」
たじろぐ凌輔に、自分の想いを伝えた。
「私、凌輔のことが本っ当に心配なんだよ!だから隠さないでよ!
お願い、一人で抱え込まないで…!!」
そして、穏やかな表情に戻して、凌輔を見つめる。
「サヨリ…」
凌輔はしばらく驚いていたが、やがてシュンとした顔をした。
「…ごめん」
凌輔の口からこんなにも素直な言葉が出てくるなんて
思っていなかったから、今度はこっちが驚いてしまった。