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Re: 君と進む未来なら【凌輔編】 ( No.199 )
日時: 2014/01/21 22:52
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: 7uqXWVar)

   【凌輔編 第二話】



 凌輔はシュンとした表情のまま、ぽつぽつと話した。
「おれ、強くなりたくて悪霊を倒していたんだ」

「強くなりたくて?」
 コクンと頷く凌輔。

「ああ。ほら、ゲームって敵を倒すたびにレベルが上がるだろ?
 祈祷師もゲームと同じで、悪霊を祈祷するたびに
 強くなれるんだと考えたから…」

「ふむふむ……ん?」
 それを聞いた瞬間、私の中で何かが弾けた。

 直後、私は凌輔の頭を全力で撫でていた。

「へ?お、おい何だよ!?」
「……可愛い」
「…は?」

 私の一言に、凌輔がぽかんとする。
 しかし、その言葉の意味をようやく理解すると、みるみる顔を赤らめた。

「なっなんだよ可愛いって!それ男が言われたくない言葉ナンバーワンだぞ!」
「だってゲームって…!その発想可愛すぎ…!」
「言うなああああああ!!」

 ——と、その時。

 不意に、悪霊の気配を感じた。
 それも、かなり強めの。
 でもなんでこんな時間に悪霊が?まだ昼間なのに…。

 凌輔も気付いたらしく、鋭い視線で辺りを見回した。
「…近付いてくるな」
「うん。それに結構手強そう」

 そう呟いた直後、三体の悪霊が出現した。

 私達は武器を構え、悪霊と対峙する。
「サヨリは右側の一体を倒せ。おれは二体の相手をする」
「分かった。無理はしないでね」

 それを最後に、私達は悪霊に飛びかかった。
「水よ、我が命に従え——斬撃!」
 湖の水を刃と為して、悪霊に食らわす。

「てりゃあああ!」
 凌輔は槍を構えて悪霊に突撃する。

「草よ、我が命に従え——束縛!」
 いくつか斬撃を繰り返して、今度は植物を操り、悪霊を縛り上げた。
 悪霊の動きが封じられる。これで止めだ。

「風よ、我が命に従え!円舞!」
 風の刃が、円舞のように踊り狂い、悪霊を切り裂く。
 悪霊はすぐさま消滅した。

「ふぅ…それほど強くもな——」
「サヨリ!避けろ!」
「え?」


 次の瞬間、左肩に激痛が走った。


「痛……っ!」
 呻きながら左肩を見ると、服ごと皮膚を切り裂かれ出血していた。

 背後には悪霊の気配。
 凌輔が相手をしていた悪霊に攻撃されたのだ。

「貴っ様…!サヨリに何しやがる!!」

 その声に振り向くと、怒りで顔を歪ませた凌輔が、悪霊に飛びかかっていた。
「はああああ!」
 槍を振り回し、凌輔は悪霊に攻撃する。


 その姿は、まるでゲームのアバターのように勇敢で…

 私はしばらく見とれていた。


 その間に凌輔は一体目を倒していた。
 二体目に向き直り、再び槍を構える。

「たああああっ!」
 勢いよく悪霊を切り裂いた。



 ——その時だった。悲劇が起こったのは。



 着地した直後、凌輔の動きが止まった。
「な…なんだこれ…?」
 どうやら止まった理由は凌輔にも分からないらしい。

「凌輔…?」
 私が駆け寄ろうとすると——


「う…あああああああ…っ!?」

 凌輔の身体から、緑色の光りが溢れた。