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- Re: 君と進む未来なら【凌輔編】 ( No.205 )
- 日時: 2014/01/23 21:16
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: 0T24nVPU)
【凌輔編 第三話】
「りょ、凌輔!?」
予想もしなかった展開に、頭の中が真っ白になった。
「うっ…く…!!」
緑色の光は、絶えることなく凌輔の身体から放たれる。
神秘的な光だけど…これまでにないほどの恐ろしさを感じる。
一体、何が起こっているというの——!?
凌輔に異変が起きてから動かずにいた悪霊が、不意に凌輔へ近付いていった。
「あっ!待て!」
指揮棒を構えた、その時だった。
突然、人が一人が現れ、悪霊に飛びかかった。
その人物を見て、私は驚愕した。
「純平さん!?」
そう、その人は、遥姉さんの旦那さんで凌輔の叔父である純平さんだった。
しかもその手には、凌輔のとよく似た槍が握られていた。
私のほうを振り向いて、純平さんが軽く頷く。
そして、呆然とする私の前で次々と攻撃を浴びせ…
悪霊を祈祷した。
私はしばらく声が出なかったが、我に帰るとすぐさま質問した。
「な、なんで純平さんが武器を!?もう引退したはずじゃないんですか!?」
「もしものために、三十歳になるまでは祈祷できるようにしておいているんだ」
答えてから、純平さんは私に近付き、常備用の包帯を取り出した。
「傷はそんなに深くないみたいだけど…動かせそう?」
怪我をようやく思い出し、首を振る。
「私は大丈夫です。それよりも凌輔が…」
言いながら凌輔を見ると、もう光は収まっていた。
しかし、凌輔は苦しげな表情を浮かべている。
私は尋ねた。
「純平さんは、凌輔に何が起こったのか知っているのですか?」
すると純平さんはしばらく沈黙を貫いたが、真剣な表情をして言った。
「これは俺と凌輔の家系の人間しか知らないことだけど…
見てしまったからには仕方がない。沙依ちゃんに全て話すよ」
そう前置きしてから、純平さんは話し始めた。
「俺達の先祖に、悪霊と結ばれた女祈祷師がいるんだ。
その祈祷師は悪霊との子を為した。
つまり、俺達と親族の身体には悪霊の血が流れているんだ」
私は衝撃を受けた。
「悪霊との…子どもを…!?」
純平さんは苦々しい表情で頷く。
「ああ、これは紛れもない事実なんだ。
当時、女祈祷師の親族は彼女を追放したかったが、一人娘であったため
家系を続けさせるには追放するわけにはいかなかった。
そこで、親族はある提案をした。
それは、悪霊としての能力や霊力を封じ込めるということだった。
そうすれば、他の祈祷師に悪霊の子だということがバレず、
忌み嫌われることはないから、とのことだ。
ただ、その力は、祈祷師としての能力を使いすぎると
自然に目覚めてしまうと言われていた。」
そこで、私ははっとして叫んでいた。
「じゃあ、さっきの凌輔の異変は…!」
純平さんは苦しげな顔をしながら、ぎこちなく答えた。
「…ああ。悪霊の力が目覚めてしまった、ということなんだ」