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- Re: 君と進む未来なら【凌輔編】 ( No.218 )
- 日時: 2014/02/01 18:39
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: ozdpvABs)
【凌輔編 第七話】
史人さんはニヤリと笑うと、その瞳を赤く輝かせた。
そして…背中から、一匹の蛇を出現させた。
「蛇…!」
凌輔が気を取られた、その瞬間だった。
牙を向いた蛇が背中から伸び、凌輔の腕に巻き付いた。
「っ!」
しまった、と言うような表情をする凌輔。
蛇は赤い目を光らせると、凌輔の腕を締め付けた。
「うぐっ…!」
凌輔が顔を歪ませる。
「凌輔!」
私は指揮棒を構えた。
「風よ、我が命に従え——斬撃!」
風の刃が蛇を切り裂く。
蛇はシャーッと鳴くと、凌輔から離れ、史人さんへと戻っていった。
「大丈夫!?凌輔」
「ああ!さんきゅ、サヨリ!」
二人で史人さんと対峙する。
蛇が傷付けられたにも関わらず、史人さんは余裕綽々といった感じだ。
史人さんは、再び背中から蛇を出現させた。
今度は三匹だ。
さっきと同じように蛇が伸びる…
と、思いきや。
史人さん自身が、凌輔に飛びかかった。
素早く槍で対処する凌輔。
そこで初めて、いつ召喚したのか史人さんが刃を手に持っていることに気付いた。
史人さんの刃に押されて、凌輔がわずかに後ずさる。
その時を狙ってか、史人さんの三匹の蛇が、一斉に凌輔に巻き付いた。
しかし、それだけではなかった。
更に三匹の蛇が現れ、凌輔の身体に噛みついたのだ。
「うっ…!!」
噛まれた箇所から、鮮血が飛び散る。
「凌輔っ!風よ、我が命に——」
凌輔を助けるべく、指揮棒を構えた。
しかし…
「させないよ、沙依」
史人さんの背中から、残りの三匹の蛇が飛び出し、私の腕に、足に巻き付いた。
そして、きつく締めたかと思うと——身体の力が叙々に抜けていった。
「あ…う…」
情けない声を上げながら、へなへなとしゃがみ込む。
どうやら、霊力を吸われているらしい。
「サヨリっ…!」
蛇に噛まれながら、苦し気な瞳で凌輔が私を見た。
そんな凌輔から蛇が離れると、史人さんは今度は刃で凌輔を切り裂き始めた。
ひゅん、ひゅん、と刃が風を切る音に混じり、皮膚を切る音、それと…
「うぐっ…あう…」
傷が増える度に上がる、凌輔の悲鳴…。
「りょう…すけ…!」
——なんで動けないの。
動いてよ。
これ以上、凌輔が傷付けられるところなんて見たくないよ…!!
しかし、力は抜ける一方だ。蛇はまだ巻き付いたまま。
霊力を吸われて動けない…動けないよ…!
「いっ…ああ…っ…」
史人さんは絶えず凌輔を切り刻む。
「凌輔…凌輔——っ!」
私は力のない声で叫んだ。
誰か…誰か助けてよ…!!