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Re: 【再開しますた】君と進む未来なら【共通ルート】 ( No.27 )
日時: 2013/11/30 17:32
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)

   【第十四話】



 四体の悪霊を祈祷した翌日、私達は再び高峰さんのお宅にお邪魔していた。

「人語を話す…つまり意志のある悪霊、ですか…」
「はい。その上かなり霊力が強く、攻撃的でした」
 昨日のことを聞いた高峰さんは、顎に手を添えて思い詰めた顔をした。

「それも九頭竜の余興だと考えられますね…。分かりました。
 浄化系の者達に調査してもらいます」
「お願いします、高峰さん」
 私達が礼を言っても、高峰さんの表情は固いままだった。

「どうなさったのですか?おばあさま」
 高峰さんの姉の孫である旭が訊ねた。
 高峰さんはしばらく黙っていたが、やがて意を決したかのように口を開いた。

「今朝の白金朝刊は読みましたか?」
 白金朝刊とは、白金町民に毎朝配られる簡素な朝刊のことだ。
 記事は白金町のことが殆どで、子供でも読みやすい。

「はい」「見ました」「僕も」「「表面しか」」
「その中に、ある女性町民の死亡事故についての記事が載っていましたよね?」
「はい、確か昨日の夜に…あ」
 瞬間、私はとてつもなく嫌な予感がした。

「おい、まさか…」
 智晴が血相を変えて言う。

 高峰さんは、今度は悲しい表情をして頷いた。
「その町民は浄化系祈祷師で、あなた方と遭遇する以前の悪霊を前に、命を落としました」

「——!」
 私達は何も言えなかった。

 ついに…悪霊による死者が出てしまったなんて。

 うっすらと恐怖を感じ始めたその時だった。
「う…くっ…」
 突如、旭が呻き声をもらし、正座の状態で身体を九の字に曲げた。

「旭!?」
「アサ!」
 すぐさま旭の隣に座る圭太が肩を支えた。

「どうしたんだよ、アサ!」
 圭太が訊ねても、旭は俯いて呻くだけだった。
「おいおい…こんな旭見たことないぜ?」
 凌輔も首を傾げる。

 ちらっと高峰さんを見ると、はっとしたような表情で旭を見ていた。
 高峰さんなら何か知っているのかな…?

 高峰さんに聞こうとすると、旭が起き上がった。
「あ、あぁ…ごめん、もう大丈夫だよ」
 そう言って笑うけれど、顔色は青ざめたままだった。


 ——ねぇ、そんな様子で大丈夫なわけないでしょ?


 私は旭の真正面に膝をつき、彼の肩を掴んでいた。
「沙依ちゃん…?」

 私はしっかり旭の目を見て言った。
「何があったのかに話して。独りで抱え込まないでよ…!」

「…!」
 旭が目を見開く。
「私達は同じ祈祷師だよ。だから、悩みも痛みも共有できる。そうでしょ?」

 すると、圭太がうんうんと頷いて言った。
「そうだよアサ!オレ達、何でも受け入れられる仲だろ!なぁ、リョウ、トモ」

「まあな」「だな」
 二人も頷く。

 すると旭が安堵の笑みを見せた。
「みんな…ありがとう」
 ふと高峰さんを見ると、こちらもようやく表情が緩んでいた。

「じゃあ、話すね」
 旭はすっと目を閉じ、話し始めた。