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- Re: 【コメ募集中!】君と進む未来なら【共通編 】 ( No.31 )
- 日時: 2013/10/05 15:12
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: cZfgr/oz)
【第十八話】
翌日。
私は一晩中、史人さんのことを考えていた。
彼は何者なのか、本当に祈祷師ではないのか、どうやって祈祷しているのか…。
今も考えながら、空き地のベンチに座っていた。
ちなみにこの空き地は、圭太達との待ち合わせ場所である。今日もいつものように集まるはずだけど、まだ私しか来ていない。
けど、間もなく一人やって来た。凌輔だ。
「待たせて悪いな」
「ううん、大丈夫。まだ私しか来てないし」
「あ、そうそう、その事だけどさ」
「ん?」
「今日、おれ以外の奴らは皆用があって来れないんだ」
「そうなの?」
今まで用があって来れないのは一人程度だったが、三人も来れないなんて珍しい。
じゃあ、今日は凌輔と二人きりかぁ。
凌輔が続ける。
「でさ、おれサヨリにさせたいことがあるんだ。付いてきてくれ」
「させたいこと?」
私は首を傾げたが、とりあえず凌輔に付いていくことにした。
「ここって…」
凌輔と共に着いた先は、昨日由奈と立ち寄る予定だったファンシーショップだった。
「ほ、ほら早く中に入れ。おれは後ろだからな」
背後にまわった凌輔に背中を押される。明らか女子率の高い店だから入りづらいのかな。
店に入ると、甘い香りが漂ってきた。
そういえば、この店はグッズ売り場の他に、スイーツショップもあるんだったっけ。
「こっちだ」
凌輔はスイーツショップの方に進んでいった。
そして出入口付近に私を連れて行くと、
「ちょっと待ってろ」
そう言ってレジの方へ向かっていった。
「凌輔のさせたいことってなんだろう…?」
しばらくして戻ってきた凌輔の手には、期間限定のクレープがあった。
顔を赤くしてそれを私に差し出すと、急かすように言った。
「は…早く受け取れ。そっ、外に出るぞ」
「えっ…!?それ、くれるの?」
「そ、そうだ。早くしろっ」
私はしばし目を丸くしていていたが、はっとして受け取り、微笑んだ。
「ありがとう!嬉しいよ、凌輔」
「っ!あ…う…い、行くぞっ!!」
いつも以上に顔を赤く染め、凌輔は再び私の背中を押した。
「あ…あのさ、サヨリ」
「ん?」
店を出て、近くの公園のベンチに座ったところで、凌輔が口を開いた。
「これはその…前のお詫びだと思ってくれ。高峰さん家に行く途中で、お前に酷いこと言った時の」
すぐに思い出した。結構前のことだ。
「その…あの時はすまなかった」
「ううん、私、もう全然気にしてないから大丈夫だよ」
「そうか…よかった」
凌輔が安心したように笑った。
(…!)
あまり見たことのない純粋な笑顔に、思わず心臓が高鳴ったのだった。