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Re: 【コメ募集中!】君と進む未来なら【共通編 】 ( No.34 )
日時: 2013/11/09 06:22
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)

   【第二十話】



「史人さん!?」
 驚きの声をあげると、史人さんは前と同じように微笑んだ。

「修行でもしていたのかな?沙依さん」
「そ、そうですけど…なんでこんなところいるんですか?」
 私は尋ねた。竹藪から抜けたとはいえ、まだ熊注意の看板がたってあるところだ。

 すると、史人さんは意味深な笑顔を見せた。
「沙依さんと話がしたくてね。ここらへんにいるんじゃないかなーって来てみたんだ」
「話ですか?…あと、私のことは呼び捨てでいいですよ」

 そう返すと、早速史人さんは私に尋ねた。
「じゃあ沙依、君はなぜ九頭竜を祈祷したいんだ?」

「…やっぱり知ってたんですね、九頭竜のこと」
 納得して軽く頷いてから答えた。

「この先、どんな悪霊が出てくるか、どんなことが起こるかなんて分かりません。
 でも、それは強い悪霊と戦いを経験することで、少しは解決策を見つけ出せる力がつくと思うんです。」

 すると、史人さんは笑顔を消して真剣そうな表情をした。
「へぇ、てっきり『悪霊から人を守るため』とか言うと思ったよ」
「もちろんそれが一番の理由ですよ。ただ、史人さんは少し違った答えを求めてるんじゃないかと思っただけです」

 それを聞いた史人さんがクスリと笑う。
「…やっぱり君はおもしろいね、沙依」
「そ、そうですか…?」

 やはり、彼の言動は意味深で掴み所がない。
 それでいて、まるで相手の心理を読み取っているようだ…。

 今度は私が彼に質問した。
「でも、なんで私が九頭竜を祈祷しようとしていることを知ってるんですか?」
「この町にいる攻撃系祈祷師なら、九頭竜の祈祷をするのは当然だろう?」
「あ…そうですよね」
 あっさり答えられると少し凹む。

 気を取り直して、私はもう一つ質問した。
「あと、そんなことを聞いてどうするんですか?」
 すると、史人さんはいつもの表情を見せ——

「言ったでしょ?君と話がしたかったからだよ」

 そう答えて、私が引き留める間もなく立ち去ってしまった。