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Re: 【コメ募集中!】君と進む未来なら【共通編 】 ( No.38 )
日時: 2013/11/10 15:54
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)

   【第二十一話】



 時刻は午後10時。
 私は溜まり気味だった夏休みの宿題を終わらせるべく、貸してもらっている部屋の勉強机に向かっていたのだけれど…

「あ〜…、もう集中できない…!」
 何かを考えようとすると、史人さんのことばかり思い浮かべてしまうのだ。

「はぁ…とりあえず今日は寝よ…」
 私は溜め息をついて、ベッドに仰向けに寝転がった。

 と、その時、枕元に置いておいた携帯が鳴った。
 着信相手は…智晴だ。

「もしもし、智晴?」
『ああ。夜遅くにすまないな』
「ううん、気にしないで。ところでどうしたの?」
 私は自然と起き上がっていた。

『高峰さんから、町の西に九頭竜が深く関わっている沼があるっていう情報をもらったんだ』
 九頭竜、という言葉ですぐさま史人さんのことを思い出したが、懸命に振り払って尋ねた。

「町の西に沼なんてあったっけ?」
『話によると、地図にも載らないほどの小さい沼らしい。場所も定かじゃないんだけど、行ってみる価値はあるだろ?』
「うん、何か手がかりが掴めるかもしれないもんね」

『で、早速明日行ってみようと思うんだ。圭太と旭は用があって行けないんだけど、沙依は行けるか?』
「うん、もちろん。私と智晴と凌輔だね」
『ああ。じゃあ明日の午後1時に』
「了解。おやすみ〜」
 そこで通話を切った。


 - - - - - -


 そして翌日。
 私たちは沼があると思われる場所の近くのバス停で降りた。
 そこは住宅街から離れていて、軽い森林ののようなところだった。

「地図に載ってないなんてな…」
「とりあえず、手分けして探そうぜ」
 智晴は右、凌輔は左、私は奥へと進んだ。

 しばらく歩いていると、段々と明るくなっていくのがわかった。
「抜けた先にあるとか…?」
 そう考え、私は前進し続ける。そして、小さい森林を抜けた。

 すると——

 そこには祠と、その後ろに小さい沼があった。
 しかし、それらよりも前に目に飛び込んできたのは…

「へぇ、ここに来るとは、やっぱり君の意思は強いようだね」

「史人さん!?」
 そう、祠の前に、史人さんが立っていたのだ。

「な…なんでここに…?」
 私は尋ねたが、史人さんはこう答えた。

「明日、ここに九頭竜が現れる」
「…え?」
 ぽかん、となって聞き返す。

「だから、仲間を連れてここに来てみなよ。今日はそれだけ」
 呆然とする私を置いて、史人さんはいつの間にか去っていた。

「九頭竜が…現れる…?」
 首を傾げていたその時、私の頭にポツリと落ちてくるものがあった。
「わ、雨!」
 朝から曇っていた空が崩れたようだ。

 雨は徐々に強くなり、私は急いで森林に引っ込んだ。
 そのまま出口へ進んでいくうちに、凌輔と智晴と合流した。

「見つかったか?」
「いや、こっちは全然。サヨリは?」
「見つけたよ。抜けたところにあった。でも…」

 私は思いきって二人に提案した。
「この雨だし、明日、圭太と旭も連れてまた来ない?」
 二人は頷く。
「そうだな。今日は一旦引き返そう」
「だな」

 こうして、明日また来ることが決まった。