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- Re: 【コメ募集中!】君と進む未来なら【共通編 】 ( No.47 )
- 日時: 2013/11/30 14:35
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)
【第二十四話】
虚ろな声を出して、沙依ちゃんはがっくりと項垂れた。
「沙依ちゃん!」
僕は驚いて彼女の肩から手を放してしまう。
すると沙依ちゃんは、僕の肩に身体を預けた。
どうやら、意識を失ってしまったらしい。
「何だよ…何なんだよこの状況…!」
凌輔君がよろよろと立ち上がり、近くの木に拳を叩きつけた。
「九頭竜…あいつ、許せねぇ!」
圭太君も、怒りを露にしている。
そんな二人とは対照的に、トモ君は青ざめた顔をしていた。
「トモ君…?」
僕が首を傾げると、トモ君は小さく呟いた。
「沙依だけが…」
その言葉に、僕らははっと息を飲んだ。
そうだ…沙依ちゃんだけが…いろんな物を負った。
圭太君と凌輔君はともかく、僕とトモ君は傷一つ負っていない。
その事実は、僕らに重く、重くのし掛かった。
——それと同時に、僕は激しい怒りを覚えた。
その怒りは、自分自身に対するものと、九頭竜に対するもの…両方を含んでいた。
僕は自分に言い聞かせるように呟く。
「九頭竜は僕らが絶対に倒す…!」
無意識に沙依ちゃんの背に腕を回し、彼女の肩をそっと抱いていた。
「そうだよね、圭太君、凌輔君、トモ君…!」
僕の問いかけに、三人は顔を上げた。
僕はもう一度言う。
「沙依ちゃんは僕らが守る!そうだろ!」
しばらく間を置いて、圭太君が口を開いた。
「旭の言う通りだ!ここで迷っても仕方ないんだし、九頭竜を倒さなきゃ気が済まねえ!」
凌輔君も頷く。
「ああ、九頭竜の野郎にすごすごと引き下がるのは死んでも嫌だ!」
最後にトモ君がメガネを掛け直して、不敵な笑顔を見せた。
「そうだな。これ以上沙依が傷つけられて堪るか…。九頭竜なんか、俺達が祓ってやる!」
「うん!」
僕らは互いに顔を見合わせ、力強く頷いた。
さてと、とトモ君が指示を出す。
「だけど、まず始めにしなくちゃいけないのは…祈祷師たちへの報告だな。圭太、高峰さんに連絡してくれ」
「あう…報告かぁ…。了解、幹部たちを集めるように言っとく」
「凌輔は二ノ宮家に連絡を、旭は沙依の手当てを頼む。俺は少し、この沼を調べたい」
「おうよ。旭、救急箱置いとくぜ」
「うん、ありがとう」
圭太君と凌輔君は携帯を持ち少し離れたところに、トモ君は沼の方へ移動した。
凌輔君が召喚した救急箱を開け、僕は消毒薬とガーゼを取り出した。
沙依ちゃんの首には、九頭竜の噛み跡が忌々しく残っている。
僕は九頭竜への怒りで顔を歪ませ、沙依ちゃんの手当てにかかった。
- - - - - -
俺は三人から離れながら、頭を抱え大声を挙げたい衝動に駆られていた。
表情は平常を保ちながらも、心は後悔でいっぱいだった。
沙依を守れなかった。
その事実が、俺の胸を締め付けていた。
さっき、旭が俺達に言い聞かせなかったら、俺はどうなっていただろう。
しばらくして、俺は歩みを止めた。
「——っ」
そして、顔を歪ませる。
「沙依…っ!!」
何故、俺がここまで悔やんでいるのか。
だって沙依は、俺の大切な——