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Re: 【コメ募集中!】君と進む未来なら【共通編 】 ( No.50 )
日時: 2013/12/14 17:07
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: qZbNjnvV)

   【第二十五話】


 微かに聞こえる喋り声と、少しの震動。
 それらを感じながら、私は目を覚ました。

「あれ…?ここどこ…」
 呟きながら起き上がるのと同時に、圭太、旭、凌輔、智晴がこちらを向いた。

「おっ、サヨ!」
「沙依ちゃん!よかった、起きてくれて…」
「おい、大丈夫なのかよ!?」

「うん、何とか平気だよ」
 そう答えながら、私はここが車の中だということに気がついた。

 三列シートのミニバンらしい。私はその一番後ろに横たわっていた。
 その前のシートには圭太と旭と凌輔、助手席に智晴、そして運転席には純平さんがいた。

 赤信号で停車する。すると純平さんが私の方を向いた。
「沙依ちゃん、具合は大丈夫?」
「はい、何ともないです」

 なるべく明るめに答えてから、私はガーゼが貼ってある首に触れた。
 さっきよりは落ち着いたけど、正直不安だらけだ。

 再び車が走り出すと、圭太達がさっきまでの状況を話してくれた。
 高峰さんや遥姉さんには、もう事情を話したらしい。

 状況が状況であるため、これから祈祷師たちの緊急会議を開くとのこと。
 もちろん私達も全員参加だ。

 そして、意識を失った私を気遣って、純平さんが迎えに来てくれた、とのことだ。

 話を聞いている最中に気がついたのだが、説明上手な智晴が一回も口を開かなかった。
どうしたんだろう?
そのことに首を傾げていると、ようやく智晴が言葉を発した。

「沙依…辛いと思うが、あいつのこと、俺達に全部話してくれよ?」
あいつ…史人さんのことだろう。
彼の事を思い浮かべると、少し胸が痛んだ。

「うん…」
もちろん、包み隠さず話すつもりだ。

私達を乗せたミニバンは、高峰家に向かって走っていった。


- - - - - -


「サヨちゃんっ!」
車から降りると、遥姉さんがすぐさま駆け寄り、私を抱きしめた。
「サヨちゃん…なんでサヨちゃんがこんな目に…」

泣きじゃくる遥姉さんの背に腕を回した。
「ごめんね、遥姉さん。…これから全て話すから」

 私達が高峰家の大広間に入ると、そこには二十人近くの祈祷師が揃っていた。
 困ったような表情をする高峰さんは、私達を空いている座布団に座るよう勧めた。

そして、会議が始まった。

まず始めに、智晴を中心に、沼での出来事を詳しく話した。

 高峰さんに尋ねられ、私はガーゼを剥がして噛み跡を見せた。
 治癒の特殊能力を持つ祈祷師が傷を消そうとしたが、効果はなかった。

 続いて、私が史人さんとのことを話した。
 最初に出会ったときのことや、その後も何回か表れたことなど…全てを。

 その後、私達は「疲れたでしょうからお休みなさい」と会議から解放された。

「あー…疲れたぁ…」
 圭太の言葉に頷く。あのプレッシャーはかなりのものだった。

 さっきの会議の話をしている圭太達の横で、智晴が私に言った。
「沙依、今後は単独行動すると危険だ。外に出るときは俺達と一緒にな?」
「うん、約束する」
 私は頷いた。

 …だけど。

 敵となった今でも、史人さんのことが気になってしょうがないのだ。