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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君と進む未来なら【圭太編 更新しました】 ( No.96 )
- 日時: 2013/12/10 23:17
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: j.vAWp8a)
【圭太編 第五話】
圭太は刀を手に持って立ち上がると、鞘から抜きながら言った。
「契約を結ぶには、オレがサヨの血を飲み込めばいいだけだ。
だから、痛い目にあわせちまうけど…」
私はさっきまで噛み跡があった場所をそっとなぞった。
「心配しないで。切り傷の一つくらい、大したことないよ」
圭太は静かに頷き、私の肩と首の中間あたりに刃を持っていく。
そして…
そこをほんの少しだけ切った。
弱く痛みが走る傷から鮮血が溢れ、肌を伝う。
圭太はそれを指で拭うと、躊躇いがちに口へ運んだ——。
と、次の瞬間
突如、激しい頭痛が起こった。
「い…痛…」
頭を抱えしゃがみ込む。
「サヨ!…うぐっ!」
圭太も私と同じように、苦痛に顔を歪めている。
しかし痛みは長くは続かず、叙々に収まってきた。
「大丈夫か!?」
「うん、もう何ともない。圭太は?」
「オレは平気だ」
「そっか、よかった」
私は背負った竹刀ケースから指揮棒を取り出す。
「圭太、制御できるか試してみてもいい?」
「ああ、もちろん」
さっきの圭太と同じく、目を閉じて思考を巡らせる。
すると、圭太の言っていた通り、制御の仕方が浮かび上がってきた。
私は指揮棒を圭太に向け、唱える。
「停止」
すると、今まで赤かった圭太の目が、もとの黒目に戻り、強い霊力も消えた。
「わぁ…すげぇ!調子が元に戻った!無駄な力が抜けた!」
「ほんと!?やったぁ!!」
喜び安堵したその時、
ぐらり。
視界が揺れた。
「サヨ…?」
圭太の声がやけに遠く聞こえ…
意識が途絶えた。
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