コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 禁断果実〜兄弟恋愛〜2 ( No.105 )
- 日時: 2013/10/28 09:59
- 名前: ミム (ID: MbtYH2rf)
29話
家に着くと亮は冷蔵庫から食品を取り出した。
もしかして何か作るのかな?
嬉しいけどやっぱり顔色悪いし心配だなぁ…
「亮、私が作るからゆっくりしてて!」
「え?」
「いいからいいから。」
亮にキッチンから離れさすと私は何を作ろうか考えた。
んー、何が良いかな…?
———カチカチ
耳を澄ませてみると何処からか「カチカチ」と言う音が聞こえた。
まるで震えているような———
ふと自分の手を見てみると私は言葉を失った。
これ私が震えてるから…?
音の原因は私だった。
片手で持った2本のスプーンが震えて当たってるせいで「カチカチ」いっていたのだ。
止まれ…
止まれ…
呪文を唱えるように自分の手をもう片方の手で封じ込める。
「千歳…!?」
亮が心配そうな顔で私を見る。
何でそんな顔で見てるの…?
私は大丈夫なのに…
それより亮が心配で仕方がないよ。
「お前は休んでおけ。」
「何で…?私は大丈夫だよ。元気だってほらこの通り…!」
私はニカッと歯を見せて笑ってみる。
だけど亮の顔はもっと酷く曇っていった。
「千歳お願いだから、頼む…」
「でもっ…「俺の事を思ってくれているのは嬉しい。だけど俺は正直千歳にゆっくりしてもらっていた方が気持ちが楽だ。」
亮…
「うん、じゃあ頼むね…」
「あぁ。」
私はソファーに静かに座るとテレビを付けた。
テレビには話題の人たちがニコニコ笑って楽しそうにしている。
ううん、もしかしたら偽物なのかもしれない…
なんて…
何で私こんな事考えてるんだろう?
いつもはこんな事考えないのに…
チャンネルをまた一つ変えてみる。
するとそこには———
「翔さん…!?」
翔さんが大きなステージで歓声を浴びながら歌っていた。
凄い…
翔さん、本当にアイドルだったんだ。
私は思わず釘付けになる。
「だけどこの翔さん何かいつもと違うなぁ。」なんて考える自分がいた。
するといきなり翔さんの顔にカメラが近づく。
「皆愛してるよー!!」
「キャーーーーー!!!!」
その一言で会場はさっきよりもっと賑やかになった。
歌を止めトークに入ると翔さんは語り始めた。
「俺、今ものすごく気になっている子がいるんだ。その子は物凄く不器用なんだけど優しくてね…」
ファンがざわめき始める。
「それでもってホントに馬鹿なんだ。」
キラキラした翔さんの顔に皆は見惚れたのだろう。
会場は静寂に包まれる。
「……って嘘だよ!俺には君達しかいないからね。じゃあもう一曲いくよーー!!」
そしてまた歓声に溢れるのだった。