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Re: 禁断果実〜兄弟恋愛〜2【11/4更新】 ( No.115 )
日時: 2013/11/17 10:40
名前: ミム (ID: MbtYH2rf)

すると伊集院さんは肩を小刻みに震わせながら翔さんに言った。


「翔…どうしてまだ橘さんと一緒にいるの…」


そう言葉を放った伊集院さんは今までに見た事のない位酷く不安に満ちている顔をしていた。


「何で?
一緒にいたら駄目なの?」

「別にそう言う事じゃないけど、でも振られ「うるせぇ!!」


青い空に怒鳴り声が響く。
空はこんなにも晴れているのに、どうしてこの場は曇っているのだろう。

翔さんはフラフラとコンクリートの壁に向かうと思いっきり拳をぶつけた。


「何してるの!?
大丈夫!?」


それを見た伊集院さんが素早く翔さんに駆け寄った。
私はその光景をただ茫然として見ていた。

この2人には人が入り込めない何かがある。


「近づくな…!
くんじゃねー!
千歳ちゃん、もう行こう。」


翔さんは痛々しい拳を隠し、反対側の手で私の腕を握るとその場を去ろうとした。


「翔、待って…!!
私を置いて行かないで!!」


その言葉を聞いた翔さんは一旦止まった。


「お前にはもう絶望した。」

「『お前』って酷いわ…
今までは『桜子』って呼んでくれてたじゃない!」

「酷いのはどっちだよ!!
謝る事もしないで、千歳ちゃんの前に堂々と現れるお前の方が酷いだろ!」


何も言い返せなかったのだろう。
伊集院さんはまるで消えかけそうな表情をすると、自らその場を去った。


「翔さん…私はもう大丈夫です。」

「千歳ちゃん、それだから駄目なんだよ。
あいつにはこれ位が丁度良いんだ。」


確かにそう言ったはずなのに顔には後悔と悲しみの顔で暮れていた。

それにしても2人の関係はとても親密そうだった。
ただの浅い男女の関係には見えない。
そうだ、聞いてみよう。
でも聞いても良い事なのだろうか?

私の頭の中がクルクルと回る。


「あの、聞いてもいいですか…?」

「ん?何?」

「翔さんと伊集院さんはどういった関係で…」

「どういった関係も何もただの幼馴染だよ。」

「幼馴染?」

「うん。」

「本当ですか?」

「まぁ…うん、そうだけど…
何々、気になるの?
嬉しいなぁー」

「いや、そうじゃなくて…」

「きっぱり言うね。」


翔さんは急にシュンとすると小さな石を蹴った。


「私には幼馴染とかそんな関係に見えなかったんです。」

「それどういう意味?」


顔が強張る。


「何て言うか誰も入り込めない雰囲気で…」

「………ホント良く見てるね。
なら千歳ちゃんだけに話しちゃおっかなぁ?」

「良いんですか?」

「良いも何も聞きたいんでしょ?」

「はい。」


私の一言を聞いた瞬間翔さんの表情が変わったような気がした。
そして思い出すかのように目線を逸らすと話し始めた。


32話 完