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- Re: 禁断果実〜兄弟恋愛〜2【11/14更新】 ( No.116 )
- 日時: 2013/11/18 14:48
- 名前: ミム (ID: MbtYH2rf)
33話 翔視点
———10年前
「さーくーらーこーちゃん!あーそーぼっ」
その日も桜子と遊びたくて誘いに行っていた。
桜子は温厚で優しく、全てを完璧に出来る、まるで漫画に出てくるような女の子だった。
俺はそんな桜子が大好きだった。
「翔君、今日も来てくれてありがとう。」
可愛い顔がニコッと優しく微笑む。
———ドキン
その度に自分の胸が弾むのが分かった。
しかし今日の桜子はいつもの様子と少し違っていた。
何て言うか今にも消えてしまいそうな顔をしている。
でも笑ってるんだ。
それが俺を余計に不安にさせた。
桜子は一度俯くと何かを決めたかのように顔を上げた。
「どうかしたの?」
「ううん…
あのね、今日は遊べないの。
ごめんね。」
「そっかぁー。
じゃあまた今度遊ぼうよ!」
「うんっ!」
そんなこんなで今日は遊べなくなり、暇が出来てしまった。
それにしてもどうしてこんなに胸がドキドキするんだろう?
僕、病気なのかなぁ?
幼い俺はまだその気持ちに気付く事が無かった。
でもその思いは少しずつ崩れていこうとしていたんだ。
———夜
———ピーポーピーポー
外から聞こえる音で目が覚める。
外を覗いてみると、桜子が住んでいる豪邸に救急車、消防車、パトカーが沢山止まっていた。
どうしたんだろう?
胸がざわつく。
桜子の事が心配でいても立ってもいられなくなり、いつの間にか家を飛び出していた。
桜子の家の前まで行くと集まっている大人達の会話が聞こえた。
「大きな火事だったらしいわよ。それに残ったのは娘さんだけですって…!」
「まぁそう…酷い話ねぇ…」
桜子ちゃんのお母さんとお父さんが死んだ?
そんな…
なら、桜子ちゃんは一体———
すると中から灰だらけになった女の子と背の高い男の人が出てきた。
あれは桜子ちゃんと黒川さんだ…
黒川さんとは桜子の執事だった。
2人はとても仲が良く、まるで家族のようだった。