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Re: 禁断果実〜兄弟恋愛〜2【10/11更新】 ( No.73 )
日時: 2013/10/12 15:28
名前: ミム (ID: SR0aabee)

まさか私と亮が昔に会っていたなんて…
もしかしてこの間見たあの光景もその記憶だったの?

私は頭の中が混乱していた。
思い出そうとしても何も思い出せなくて、だけど亮と私は確かに過去に会っていたからだ。


「大丈夫…?」

「ぅ…ん…」


鈴が優しい声に聞いた。


「やっぱり話さない方が良かったよね…」


微かに聞こえた鈴のその言葉は私の胸に深く突き刺さった。

違うよ…!
鈴は勇気を出して私に話してくれた。
だから話してくれて良かったんだよ。

そう伝えたいのに上手く言葉に出来ない。

どうしたらこの気持ちは伝えられるのだろう…?


「ごめんね…」


その声は震えていた。
今にも消えてしまいそうな声で…
それと一緒に鈴まで消えてしまいそうだった。


———ぎゅっ


「っ………」


私は鈴を抱きしめた。
鈴はまた泣いていた。
今度は声を上げずに静かに———

太陽がもうじき沈もうとしている頃に私達は言葉をやっと交わした。


「鈴…」

「ん……?」

「話してくれてありがとう。」

「えっ…う、うん…って私また泣いちゃうよ…」

「泣いていいんだよ。だって鈴は今まで隠し通すのに頑張ってきたんだから。それに何の罪もないのに巻き込んじゃって本当にごめんなさい…」


鈴は少し黙ると私に言った。


「でもね…千歳はずっと亮先輩のこと話してたよ。昔から…いつも『大好き』だって言ってた。」


私が……?


「それって凄い事だと思うんだ。だって又出会って千歳は亮先輩に恋をしたんだから…」

「っ………」


そう言えばそうだ。
私は気付けばいつの間にか亮に恋をしていた。
これは二度目の恋。
同じ相手に二度も恋をしたのだから…


「鈴、私っ「行ってきなよ!」

「えっ?」

「亮先輩の所行きたいんでしょ?」

「う、うん…でも鈴が…」

「私は大丈夫だから。」

「でも…」

「て言うか今は一人になりたいの。だから行っておいで。」


言葉に込められた強くて優しい鈴の思いは私の胸に深く届いた。


「じゃあ行ってくるね!」

「うん!気を付けて行くんだよ!」


鈴…
心からありがとう。

私は思えば素敵な人たちに囲まれていた。
この貰った幸せは恩返しできるのだろうか?

ううん、きっと出来る。

涙を溜めながら亮の居る家に帰った。


20話 完