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Re: 禁断果実〜兄弟恋愛〜2【10/26更新】 ( No.99 )
日時: 2013/10/27 12:11
名前: ミム (ID: MbtYH2rf)

「貴方がホテルで酷いめにあっているとある人から聞き、私達はホテルに向かいました。救助には成功したのですが貴方様は加害者が連行されたその後意識がお無くなりになりました。そして現在に至るのです。」


そうだった…

私はその時の事を思い出し泣いてしまいそうになった。
それに気付いた執事さんは悲しみに暮れた顔で私を見た。


「申し訳ありません。私が話してしまったせいで…」

「い、いえ…執事さんは何も悪くありません…!謝らないで下さい…!むしろ助けてもらって感謝してます。本当にありがとうございましたっ…!!」


私は深々と頭を下げた。


「頭をお上げください。お礼を言われるのは私ではありませんので…」


そうだ…!
一体誰が通報してくれたんだろう?
いや、でももし通報され助けられたとしてもここにいるはずない。
普通病院とか…


「あの誰が通報してくれたんですか?」

「それは…」


執事さんは目を逸らすと顎に手を当て険しい顔をした。

どうして言えないんだろう?
お礼がしたいだけなのに…


「あの言えない理由でもあるんですか?私お礼がしたいんですけど…」

「実はですね…」


又言葉を詰まらせた。

きっと言えない理由があるんだ。
執事さんも困ってるしもう諦めるしかないよね…


「すみません。困らせてしまって…なら一つお願いしてもいいですか?」

「何でしょうか?」

「その、通報してくれた方に『感謝していた』と伝えて貰ってもいいですか?」

「ええ、勿論でございます。」


執事さんは優しく微笑むと部屋から出て行った。


———次の日


私は滞在されてもらっていた家を出た。
後ろを振り返って見ると明らかにこの家が桁外れの豪邸かを分かった。

私こんなところにいたんだ…

まるで昨日あの部屋にいたことが夢のように思えた。

でも夢じゃないんだよね。
なんか凄いなぁー
ううん、でも夢の方が良かった。
そしたらホテルの事も悪夢で終わらせたのに…

私の頭の中にあの光景が浮かぶ。

思い出したくないのに…
何か他の事を考えないとっ…

その時亮の顔が頭に過った。

亮はどうしてるんだろう?
心配してくれてるかなぁ…
亮の声が聞きたい。
抱きしめて欲しい。
あの光景を忘れるくらいのキ———


「千歳!!」

「亮…!」


———ギュッ


そこには必死に私の名前を呼ぶ亮がいた。
息が出来ないくらい強く抱きしめられる。

私はこの温もりが欲しかったんだ。

涙が溢れる。


「千歳、本当にごめんっ…」


亮…


「俺が千歳をあんな場所に置いていったから…」

「もういいの…私、亮がここに来てギュッてしてくれて嬉しかったから…」

「っ………ごめんな…本当にごめん…」


亮は私に何度も謝った。
まるで何かに取り付かれたみたいに…


「もう二度とこの体を離したりしない。だから千歳も俺から離れないで…」

「うん」


なんか今日の亮可笑しい。
いつもなら「離れないで」なんて言わないのに…

亮の顔を見ようと思い、離れようとしても離してくれない。
それに力が強くなっていってる。


「苦しい…」

「…あっ悪い…」


やっといつもの亮に戻ったかのように思えると私は顔を見た。

痩せてる…

明らかに痩せていた。
顔も青白い。
それに服も汚れている。

こんな短い時間でどうしてこんなに…

思わず言葉を失う。

もしかしてずっと探してくれてたの…?


「亮、もしかして…」

「千歳、俺は大丈夫だから。それより自分の事を心配しろ。」


読み取られた…?

まるで心の中を読み取られたかのようにその言葉を発した。


「家に帰ろっか。」

「そうだな…」


私達は手を絡み合わせると家に帰った。