コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ヒーリングKISS(仮……かもしれない←) ( No.43 )
- 日時: 2013/08/02 20:05
- 名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: A1ozuBPm)
どうでもいいと思うんですけど、夏休み中は多分、更新する時間が6〜8時位になると思います。
……も、もちろん夜の(夕方の?)方です!
まぁ、朝方投稿も全然ありえるんですけどね←
それでは、やっと過去編です!長くなりましたが、どうぞ!
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「……2年前、俺は藍蝶……ミリナと一緒に買い物帰り、宿へ向かっていたんだ」
——2年前。二人の間に楽しく弾む談笑。
故に、アレンとミリナは少し油断していたのだ。
……いきなりの奇襲だった。
「……うわっ!?」
何者かのいきなりの攻撃を避ける間もなく吹き飛ばされるアレン。
まだ胸のあたりが少し切れただけで済んだのは、アレンのとっさの反射神経というものだろう。
しかし、アレンは自分のことより先に パートナーの名を呼んだ。
「ミリナ、大丈夫か!?」
「……う、うん。……ちょっと足をやられちゃったけど……」
苦笑いをしながら立ち上がるミリナ。そしてすぐに攻撃の体勢に入った。
それを見て、アレンも剣を抜く。
(……クソッ、数が多いな……)
20人ぐらいの敵が二人の周りをぐるりと囲んでいた。
(……狙いはやはりミリナか)
藍蝶でもあるミリナは、よくこうやって襲撃を受ける。……こんなに多人数なのは初めてだが。
「……ミリナ、とりあえずリーダーを探そう。お前が狙いなら、トドメを刺すのもそいつだ」
「うん、分かってる。……アレン、今回はヒトがすごく多いから……気をつけて」
「……お前もな」
少し会話をすると、敵の群れに突っ込む二人。
ただバカップルをしていただけではないのだ。二人は強かった。
……やがて敵は10人くらいに減っただろうか。
何やら話し合いを始めた。
「……なんだ?」
「作戦会議……かしらね。……そろそろ疲れてきたし、ちゃっちゃと片付けたいんだけどな」
くるくると両手に持った短剣を器用に回すミリナ。
しばらくすると、敵が全員こちらに向き直る。どうやら話し合いは終わったようだ。
「……来るぞ」
アレンのその言葉を合図にしたのか、敵が一斉に攻めて来た。
(……ッッ、こいつら、強い奴らを俺に回してきやがった……!!)
威力と攻撃力が高い敵達が、アレンに反撃する間も与えず斬りかかってくる。
守るのが精一杯のアレンはじりじりと後退することしかできず、ついに壁に背がついてしまった。
「……!しまっ……」
敵の剣が振り下ろされ、横に勢いよく飛ぶアレン。
「うあッ!!!」
(……クソッ、このままじゃ……!)
さっきよりも深く胸に刻まれた傷が、刻々とアレンのHPを奪っていく。
なおも立ち上がろうとするアレンの首元に、敵の剣先が向けられた。
「動くな。お前は殺さずに捕えよとの命を受けている」
「……チッ……」
憎々しげに敵を睨むと、ミリナの方を見るアレン。
ミリナもアレンほどではないが、苦戦しているようだった。
「……ッ……。……あ、アレン!!」
喉元に剣を突きつけられているアレンに気付き、一瞬動きを止めるミリナ。
「馬鹿、よそ見をするな!後ろだ!!」
アレンの一言で、間一髪攻撃を避けるミリナ。
しかし、大きく体勢を崩してしまった。
敵はその一瞬を逃さなかった。
——銀色の刃が弧を描く。
目を見開くアレンの前で。
勝ち誇った笑みを浮かべる敵の前で。
ミリナの体を銀色の線が貫いた。
「…………嘘、だろ……。」
声が震えるアレン。敵が剣をミリナから引き抜く。
「…………こんな……。……こんなことって……」
どさりと倒れこむミリナ。
「……おい、コイツ、まだ息があるぞ」
「チッ、急所を外したか。次はちゃんと殺る」
無抵抗のミリナに再び剣を向ける敵。
(……まだ……こいつらはまだミリナを刺そうとしてるのか……?)
敵がしようとしている行為に思わず目を疑う。いや、相手の人間性もだ。
あまりのことに声も出ずにその場をただただ見つめていたアレン。体が動かないのだ。
——ところが。
「…………ア……レン……」
か細い、今にも消えてしまいそうな小さな声だった。
しかし、それはハッキリとアレンの耳へと届いた。
「……愛………してた……」
「…………!!!!!」
(……してた?してたって、なんだ……?まさか、お前はもう死ぬってことを言ってるのか……?)
——ぱきん、と何かが割れる音がした。
驚いた敵が音のした方を見る。そして、ヒッ、と短く悲鳴を上げた。
「……まだ……。……まだ、終わりじゃない……」
なんと、アレンが剣を素手で折ったのだ。
「…………殺らせない……。ミリナは……」
鋭い眼光に怖気付く敵。しかし、もう遅い。
彼らは、あまりにもアレンを怒らせすぎた。
「殺らせねえぞオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」
自分の剣の塚を、潰れてしまうんじゃないかというほど強く握り締めるアレン。
そして、目の前の敵を貫いた。
その敵の結晶化を待たずに自分の近くにいた敵を次々なぎ倒していくアレン。
アレンに"理性"という文字はもうなかった。
ただ、敵を殲滅する。それだけだった。
「お、おい、早くこの女を殺せ!こっちが殺られる前にずらかるぞ!」
それを聞いたとたん、丁度ほとんどの敵を斬ったアレンの動きが止まった。
「……今、なんて言った……?」
振り向いたアレンの顔はひどく恐ろしく、不気味に笑っていた。
まるで、殺すのが楽しくて楽しくて仕方がないかのように。
「……っば、化物だ!コイツは人間じゃない!コイツは……コイツは……ヒイッ!!!!」
「……ほう……?化物か……。それはいい響きだな。今の俺にぴったりだ」
次の瞬間、肉眼ではとらえられないような、普通ではありえない速度で敵に突っ込むアレン。
「いっそのこと、殺人鬼と呼んでくれ」
最後の二人が倒れ、消滅した。