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Re: ヒーリングKISS(仮……かもしれない←) ( No.48 )
日時: 2013/08/06 20:06
名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: fqNLaQl7)
参照: 進撃の巨人の18話(アニメ)が楽しみで夜も眠れない人←

やっと投稿しました←
相っ変わらずの亀更新でごめんなさい。
いや、亀行進でごめんなs((黙

今回は黒いアザのことについて明かされますよー。
……うわぁ、ロイケダも早く更新しないと(´Д`;)

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剣を鞘に収めて急いでミリナのほうに駆け寄るアレン。
しかし、彼女はすでに息絶える寸前だった。
回復薬を取り出そうとするアレンを制し、最期の言葉を残すミリナ。
そして、何よりも美しく、儚く、大空へと散っていった。

「……ミ……リナ?」

結晶化したカケラがアレンの手に触れて消える。
その瞬間、アレンはやっと全てのことを理解した。

「うわぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

泣き叫ぶアレン。何度も最愛の人の名を呼ぶが、もう彼女は戻ってこない。

アレンをからかうかのように、右上の方に"蝶を殺しました"というアイコンが浮かぶ。

「ふざけるなぁああああああああああああああ!!!!!!!!」

剣を振るも、表示が消えることはない。

"お前のせいだ。お前のせいでミリナは死んだのだ"

誰かの声がアレンに囁く。

「うるさい!うるさい!俺は!俺は……!!!」

剣を地面に突き立て、それを杖のようにして体を支えるアレン。

「……っ、ミリナ……!!」

(……守ってやれなかった。それどころか、俺だけが生き残って……)

ポタポタと地面に涙がこぼれる。

ただ、ただ、悔しかった。罪悪感しかそこには残らなかった。




「……悔しい?憎い?今すぐに恋人を殺した奴らの仲間を殺したい?」

不意に、女の声がアレンの背中に降りかかった。

「なっ……」

驚いて、振り向こうとするアレン。刹那、アレンの首に激痛が走った。

「……つうッ!?」
「あはは、痛い?苦しい?そりゃ、呪いをかけたんだもん。痛いに決まってるよねー」

あまりの痛みに首を抑えてうずくまるアレンに、陽気な笑い声が降りかかる。

「……お……前は……」

汗を浮かべながらも相手を睨むアレン。
その目は、フード付きのコートを羽織った背の低い少女を写していた。

「いやだなぁ、そんな目で見ないでよ。君と殺りあおうって訳じゃないんだから」

少女の顔はフードで隠れていて見えないが、ニヤリと笑う口は確認できた。

「ただ、マークを付けさせてもらったけどね」

自分の首をとんとん、と叩く少女。
アレンが近くの窓ガラスで首を見ると、黒い薔薇のような形をしたあざが見えた。

「それは、闇ギルド"黒薔薇"に目をつけられましたよーって証。今回はこっちも被害が大きいからずらからせてもらうけど。それに君が"蝶を喰らいし者"になっちゃったし?なんだか、君とはまた会うことになりそうだね」

コートを翻してその場を立ち去ろうとする少女。アレンは痛みが収まらず、うずくまったままだ。
少女が「あ、そうだ」と振り返る。

「それは君の居場所を特定するマークでもある。そしてそれは君が死ぬまで解けることのない呪い。でも、私だってほら、つけられたんだよ、そのマーク」

自分の右腕を見せる少女。確かにそこにはくっきりと黒薔薇のマークが刻まれていた。

「闇ギルド"黒薔薇"のメンバー達は、体のどこかにこのマークが必ず刻まれている。だから君も、このマークを頼りに私達を潰していけばいい」

ふとさっき自分が全滅させた敵達を思い出すアレン。
明確には思い出せないが、確かに黒いアザのようなものが足にあったり手にあったりしたような気がした。

「……じゃあ、さっきの奴らも……黒薔薇の……!?」

うんうん、と嬉しそうに頷く少女。

「悔しいなら、憎いなら、殺したいなら、そうすればいい。私達は君を待ってるから。……まぁ、あの人は短期だから、自分から君を捕らえようとするかもしれないけど……」

うーん、と呑気に考え込む少女に、苛立ちを覚えるアレン。
痛みをこらえ、地面に刺した剣を引き抜こうとする。
しかし、少女はそれを見て冷たく笑った。

「まだ話してる途中でしょ?」

首元の痛みが急激に増す。あまりの痛みに声も出ないアレン。

「……まぁ、いいや。とりあえず、頑張ってねー」

少女はにっこりとアレンに笑いかけると、今度こそ その場を去った。


しばらくすると収まった痛みに、ほっ、と息を吐くアレン。
しかし、そんな自分に怒りを覚える自分もいた。

「……黒薔薇……」

悔しいが、少女の言うとおりだった。

"悔しいなら、憎いなら、殺したいなら、そうすればいい"

「……言われなくても、そうしてやるさ」

アレンがさっき負った傷は、『蝶を喰らいし者』の最大の能力、『no damage』ですっかり回復していた。




「……分かっただろ。俺が"闇の殺人鬼"と呼ばれる訳も。別に無差別に殺してるわけじゃない。"黒薔薇"と関係がある所を潰していっているだけだ」

感情のない冷たい目。

(……目の前で、藍蝶を……!)

……どれだけ辛かったことだろう。苦しかったことだろう。自分を責めたのだろう。
それはきっと、アレンにしか分からない。分かる訳がない。

アレンに抱きつくアリア。

「……っ、アレ……アレン……っ」

次から次へとアリアの瞳から涙が溢れ出る。今日は泣いてばかりだな、と思いながら。

「私が支えてあげるから……!!アレンを……アレンを私が……!!」

傍に居たいと思った。少しでも心の傷を癒してあげたいと思った。
例えそれに何の意味がなくても、自分に出来ることを全てしてあげたいと思った。

「……だ……から……。笑って……っ」
「……!!」

何も映していなかった目に、元の黒色が戻る。

"笑って、アレン……"

「…………はは、まだ出てくるか、涙」

空を見上げたのなどいつぶりだろう、とアレンは思った。
久しぶりに見える目で仰いだ空は、眩しいくらいに晴れ渡っていた。