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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ヒーリングKISS(仮……かもしれない←) ( No.5 )
- 日時: 2013/07/25 22:55
- 名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: q.GNWgNw)
#01話 「黒薔薇のアザ」
路地裏に足音が響く。
どこか遠い目をした少年の名はアレン・スエード。
黒い髪、黒い目、黒いコート。正に全身真っ黒な少年だ。
少年がガラス窓の前でふと立ち止まる。
ガラスの中の少年は自分の首元を見つめていた。
薔薇の形をした黒いアザ。
少年はそれを見ると、隠すようにアザに手を当てた。
「……ミリナ……」
ぎりっ、と奥歯が鳴る音がする。悔しそうに唇を噛む少年。
「……ッッ……!」
ほとんど小走りでその場を立ち去る少年。
自分の目にうっすらと涙が浮かんでいたことも知らずに。
不意に魔物達の群れが少年の前に現れた。
血を欲し、肉を欲し、魂を欲する汚れた集団。
少年は軽く舌打ちをして剣の柄に手をかけた。走るスピードが増していく。
「どけええッッッッ!!!!!!!!」
魔物達が一斉に少年に飛びかかる。しかし、少年の方が早かった。
黒光りする刃が弧を描く。
——一瞬だった。
少年は軽く剣を振ると、そのまま鞘に収める。
その瞬間、奇声を発する間もなく 全ての魔物達が結晶となり弾けとんだ。
宙を仰いだ少年の目には、青く青くどこまでも広がる空も、そこに浮かぶ白い雲も、真っ赤な太陽も写っていなかった。
ただ、ただ、深い闇が、彼の目を、彼そのものを支配していた。
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