コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ヒーリングKISS(仮……かもしれない←) ( No.54 )
- 日時: 2013/08/15 22:14
- 名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: Pc9/eeea)
はい、というわけでやっと帰ってきました←
そういえば、まだ参照200突破企画できてなかったですね。
今回は、替え歌に挑戦してみました(((;゜Д゜)))ドキドキ
初音ミクの『キミとボク、まわるセカイ』っていう曲です(*´∀`*)
っていうか、ほとんど歌詞変わってないんですけどね←
個人的に大好きな曲なんで、使わせていただきましたm(_ _)m
ではではどうぞ見ていってくださいませ(*´∀`)/~~
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【参照200突破記念「ハッピーバースデイ〜17歳の君へ〜」】
秋。ミリナが死んでから、1年近くが経った。
「……皮肉なもんだな。お前の死をまだ引きずってるのは、もう俺だけみたいだよ」
黒いコートをゆっくりと着る。これは、去年のアレンの誕生日にミリナがくれたものだ。
「さて、今日はどうしようかな……」
先日、黒薔薇の子ギルドを潰したばかりだ。しかし、大した情報も得られなかったのだが。
秋晴れの空を見上げる。鮮やかなオレンジに染まり始めた木の葉が目に眩しい。
「そろそろ違う町に移るか。情報はもう得られそうにないし」
小さく呟くアレン。前はどんなに小さな言葉でも拾ってくれたあの人はいない。
「……馬鹿みたいだな、考えるのはいつもお前の事ばっかだよ」
独り言になってしまった言葉を、鏡の向こうの自分が虚しく笑い飛ばす。
「分かってるよ。1年経っても女を引きずる気持ち悪い男だと思ってるんだろ」
鏡の向こうのアレンは何も言わない。それはそうだ。アレンは何も言ってないのだから。
所詮鏡なのだ。返事をしてくれるわけでもない。
——ピピッ
不意にメールの着信音が鳴った。驚くアレン。
「メールなんて、誰から……」
メッセージBOXを確認するアレン。そして、動きを止めた。
「……はは、遂に幻聴と幻覚まで?どんだけ引きずってんだよ、俺」
メールを送信してきたのは、ミリナだったのだ。
でも、ミリナは1年前に"死んだはず"なのだ。
「それじゃなきゃ、いたずらか何かだろ」
メールにタッチするアレン。
すると、いきなりミリナが目の前に現れた。
「わあっ!?」
『……あー、あー、テステスー。……アレン、聞こえてるかな?』
驚くアレンをよそに、話し始めるミリナ。
『……えへへ、びっくりしたかな?これ、時間設定して未来へメールを送れるやつなんだ』
あぁ、とやっと理解したかのようにベッドに座るアレン。
『……アレンさぁ、多分気づいてないと思うんだけど、今日はアレンの誕生日なんだよ?』
「……え?」
日付を確認する。
「……本当だ……」
『どうせまた忘れてたんでしょ?アレンって私の誕生日はしっかり覚えてるのに、自分のことはズボラだよねー……。まぁ、嬉しいんだけどさ』
照れたように苦笑いするミリナ。
『これね、もし私が何かどうしても外せない用事があったときに、予備って言ったら悪いけど、撮っておいたビデオなんだ。まぁ、毎年ちゃんと祝ってるし、使うとはないと思ったんだけど……。事実、こうなっちゃったんだから仕方ないよね。あ、ちなみにこれ、ちゃんと直接祝えたときはすぐに来年の時間に設定し直してたんだよ。私にしてはマメでしょー』
ドヤ顔でVサインをするミリナ。
「そんなことでいちいち自慢しなくていいって」
今度はアレンが苦笑いをして、ミリナに突っ込む。
アレンは内心、驚いていた。自分が穏やかにミリナの話を聞けていることに。
『でねでね、私、実はアレンに、誕生日を祝うってことで替え歌を歌おうと思ってるの。……いやぁ、直接は恥ずかしいからね。大丈夫、アレンより歌が上手いのはアレンが一番知ってるでしょ?アレンって音痴だから』
「うるさい」
あはは、と笑うミリナ。
不思議なことに、二人は直接会っているわけではないのに、会話がちゃんと成り立っていた。
それだけ二人の心が繋がっているということだろうか。
『……じゃ、じゃあ、恥ずかしいけど歌うね。……おほん!』
少し間を置くと、ふん、ふふん、とハミングを始めるミリナ。
そして息を吸うと、綺麗な旋律を奏で始めた。
『……ありがとう ごめんね だいすき だいきらい
キミがボクに教えてくれたもの
たのしい かなしい うれしい さびしい
みんなみんな ボクの大切なもの
ヒトじゃないボクを 愛してくれたこと
忘れないよ 本当に嬉しかったよ
不器用なボクが キミに返せるものが
一つだけどあるんだ 今この歌を キミに贈るよ
ねえ 笑ってよ 大好きなキミが
ずっと幸せでありますように
ねえ 笑ってよ 笑ってよ
キミの涙はボクが 拭ってあげるから
ゆうやけ ほしぞら そよかぜ ざわめき
キミがボクに教えてくれたもの
やさしい いとしい せつない もどかしい
みんなみんな ボクの大切なもの
もっと聞かせてよ 楽しいお話を
知りたいんだ たくさん キミのココロを
忘れないよずっと キミがくれた言葉
一つ一つ 紡いで 今この歌を キミに歌うよ
ねえ 笑ってよ 大好きなキミが
ずっと幸せでありますように
ボクは 願うよ 願うよ
世界中で一番 キミが好きだよ
ボクのことが好きだと言ってくれた
ヒトじゃなくても好きだと言ってくれた
今でも覚えてる 涙が止まらないボクを
抱きしめてくれた事を
ねえ 笑ってよ 大好きなキミが
ずっと幸せでありますように
ボクは 明日も 明後日も
百年後も変わらず 願ってるよ
ねえ 誓うよ いつの日にかボクが
どこか遠くのセカイに消えた時も
ボクは 笑うよ 笑うよ
キミのことを いつまでも 愛し続けるよ
Lalala・・・ 』
……つうっ、と何か温かいものがアレンの頬を伝っていった。
そして、それが合図になったかのように、次から次へととめどなく溢れ出す。
「……っ、ミリナ……っ……!!!!」
歌い終わると、恥ずかしそうに笑うミリナ。
『……ど、どうだったかな?いやぁ、もう、ものすごく恥ずかしいんですけど!……でも、想いは伝わったと思うんだ』
にっこりと笑う。
『ハッピーバースデイ、アレン。ちゃんとしたお祝いは、明日しようね』
「……待て……。出来ないんだ、もう……!」
そう、ミリナは死んでしまったのだ。アレンの目の前で。
『それじゃあね、アレン』
手を振るミリナ。画面が下の方からゆっくりと消えていく。
「待て!ダメだ!消えるな!」
アレンの手は、虚しく画面を貫く。
「いかないでくれ!」
そう言った瞬間、画面が消滅した。
——まるで、1年前のあの日、君が消えた時みたいに。
放心状態で、ベッドに座りなおすアレン。
目に入ったのは、つけたままだった左手の薬指の、銀色の指輪。
「……"笑ってよ"か……」
ミリナが一番好きだった言葉。
彼女は最期の瞬間まで、アレンに笑顔を求めた。
「お前らしい選曲だな」
ふ、と頬を緩めるアレン。
「…………そうか、今日で17歳か……」
君がいない世界で、俺はあとどれだけ年を重ねられるんだろう。
「頑張るよ、なんて無責任なことは言えないけどさ」
乾いた涙が何かを少年に決心させていた。
「せめて、俺が死んだ時は——」
"笑顔で、君に会えますように"
——『楽しみにしてるよ』
……そんな声が、アレンには聞こえた気がした。
〜End〜