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Re: 私は臨時ドS執事に一目惚れをした。 ( No.26 )
日時: 2013/08/06 18:35
名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: gYu/uyWc)

第7話『お気になさらず』


早いもので・・・気が付けば土方と鈴蘭さんが来てから1週間が経った。


一時、解雇したのだけど私の寛大な心によってそれもなかったことにした。


だけどあの男・・・土方リク。ドS行為をしたらもうクビと言っておきながらいまだやめようとしない。なんせ彼は何でも軽くこなしてしまうのだ。

この間・・・名探偵コナンを見ていたときのこと。事件のトリックは来週と言われたが土方はトリックなど軽くわかっていたようで「この程度の謎すら解けないんですね」とバカにした。テレビゲームやった時も完膚なきまでに叩きのめされた。


決まって笑顔で私のことをバカにする。やっぱクビにしておけばよかった。





リク:ふぅ・・・お嬢様、朝ごはんでございます。

神奈:ありがとう土方。今日の朝ごはんもおいしそうね。


そして神奈は普通に朝食を食べようとした。そのあと、気づいた。今、土方リクが・・・あの完全無欠ドS野郎の土方リクが『ため息』をした。



神奈:土方、あなた今・・・ため息をした?

リク:ああ・・・聞いてしまっていましたか。いえ、何でもございません。お気になさらず・・・



1週間接してきて段々わかってきたことがある。土方リクが最も嫌うこと、それは自分の弱みをさらけ出すことだ。だから悩みとかあっても打ち明けないのだろう。




鈴蘭:リクが・・・ため息・・・?

神奈:そう、あなた何か知らない?お嬢様に言えないことだったらあなたに言ったかもしれないと思って・・・

鈴蘭:お嬢様・・・それ違う。リクは誰にでも弱みを見せたがらない・・・。私だって彼の弱みを知らない・・・。

神奈:そっか・・・じゃあ、あのため息は何だったんだろう・・・

鈴蘭:・・・あ。


鈴蘭は何か思いついたように呟いた。



神奈:何?何か心当たりでもあるの?

鈴蘭:・・・悩み事と言うより・・・・・・ひょっとしてリクは疲れているのでは?

神奈:疲れてる?

鈴蘭:昨日・・・夜中の4時くらいに屋敷を徘徊していたんだけど・・・・・・彼の部屋の明かりがついていた気がする・・・・・・

神奈:ええ?だって彼、いつも7時くらいに私を起こしにくるわよ?

鈴蘭:それどころか・・・お嬢様に仕える前の下準備として、その1時間前には最低でも起きてると思う・・・

神奈:はぁ?じゃあアイツ・・・まさか2時間くらいしか寝てないってこと!ていうか鈴蘭さんもよ!4時に徘徊って・・・あなたも寝てないんじゃないの!?

鈴蘭:それが私の務め。主であるあなたを護るため。寝ることはあれど、深い眠りに入ることは・・・ない。



こいつら、日中すっごい酷いことお嬢様にしてるくせに・・・そんなに隠れたところで仕事してたってこと?嘘でしょ?



鈴蘭:お嬢様・・・・・・?

神奈:鈴蘭さん、土方を呼んで。今すぐ!

鈴蘭:わかった・・・我が主の命とあらば・・・・・・



そして鈴蘭はリクを呼んできた。



リク:何のご用でしょうか・・・お嬢様。

神奈:・・・・・・アンタら、ちゃんと寝てないようね。若くてもしっかり寝ないとだめよ。

リク:鈴蘭が話したのですね・・・全く。いいですかお嬢様、執事の仕事は単に主であるお嬢様に仕えることだけではございません。屋敷全体の管理を任されているのです。まだ始めてから1週間、そう簡単に慣れるわけございません。故に少し時間がかかってしまうのです。

神奈:だけどそんなペースじゃいつか倒れるわよ。



いや、少し弱った方が土方はいいかもしれない・・・とふと思った。だけどそんなの土方じゃない。もっとピンピンして私をガンガンいじめるドS野郎、逆に弱ってたら気持ち悪いわ!



神奈:わかった、今日はあなたたちに休暇をあげるわ。ちゃんと寝なさい。誰かほかの人に頼んでおくから。

リク:ですが我々がお嬢様に仕えるのは残り1週間。それなのに1日休むとか・・・仕事怠けすぎですよ。

神奈:いいから・・・・・・寝ろ!





と言ってリクと鈴蘭をそれぞれの部屋に押し込んだ。




いいことした。私はそう思った。そして1時間後、彼らの部屋を覗こうと思ってリクの部屋を訪れた。だが明かりはついていた。そこには鈴蘭がいて、何やらカードゲームをしていた。





神奈:アンタら!何やってるのよ!寝ろっつったでしょうが!

リク:お嬢様、知りませんか?これは世界一売れているカードゲームとしてギネスにも登録されている『遊戯王』でございます。

神奈:知ってるわ!寝ろって言ったのよ私は!なんで起きてるのよ!・・・あ



リクはカードゲームをやりながら、右手で何かを書いている。帳簿のようなものだ。つまり、彼は仕事をしているのだ。

鈴蘭に至っても、木刀を携えているあたり、彼らはカードゲームをしているが全く息抜きをしていないのだ。






神奈:・・・・・・てわけよ。どうしたらいいと思う?優樹菜?

優樹菜:神奈はよっぽど土方さんのことが好きなのね?

神奈:バババババ、バカ!違うわよ!好きとかじゃないんだからね!ただちょっと・・・疲れてるみたいだったから主として当然の処置をしたまでなんだから。別にもっと元気になってほしいとかじゃないんだから!

優樹菜:ハイハイ、テンプレ通りのツンデレありがとうね。じゃあさ、ちょっと出かけてみたら?あなたが出かけたら彼らもついてこなきゃいけなくなるでしょ?息抜きできる場所に連れて行けばいいじゃない。




なるほど・・・睡眠は無理っぽいからそういう息抜きをさせてやるのもありなのか・・・




神奈の息抜き大作戦開始!






続く