コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 私は臨時ドS執事に一目惚れをした。 ( No.34 )
- 日時: 2013/08/14 14:00
- 名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: 5K27D2Vq)
第9話『あなたの方は意外でしたね』
深夜・・・神奈はもう寝入っていた。
リク:仕事熱心ですね、鈴蘭さんは。今日は寝ていいとお嬢様がおっしゃっていたのに・・・
鈴蘭:リクこそ・・・寝ればいい。
リク:そうですね、強いて言うならばお嬢様の命に従ったまで。彼女が寝ろとおっしゃったのは私だけではなく鈴蘭さん、あなたもです。だからあなたを無理にでも寝かすのは私の仕事です。
鈴蘭:きれい事を・・・
ため息をして、リクの目を見て改めて言った
鈴蘭:初めて会ったときもそうだった。アメリカで殺し屋になるように育てられ・・・父親が逮捕されたとき、未来に絶望した私にあなたが現れたときに・・・言った言葉。忘れて・・・ない。
リク:へぇ、私はもう覚えていませんが・・・
鈴蘭:「あなたの人から脅かされるような力でも必要な人がいる」。この言葉に惹かれて・・・私はあなたについて行くことを決めた。今思えばきれい事。だってあなた、腹黒いもん。
リク:心外ですね・・・あなただって結構Sでしょう?お嬢様にもため口でお話になられますもんね。
鈴蘭:敬語・・・苦手。
神奈:ん、ん〜。あれ?鈴蘭さん・・・、いない!また寝ないの!
神奈と鈴蘭は同じ部屋で寝ていたため、いないことにはすぐ気づいたのである。
全く・・・と思い布団から出て鈴蘭を探していると、今の場面に遭遇したのである。すなわち、リクと鈴蘭が二人きりで話している場面。
思えばこの二人、以前から知り合いだったらしいが・・・そういったことを全く知らないのである。気になったため彼らにいることがバレないように隠れてその会話を聞くことにした。
鈴蘭:・・・・・・お嬢様はあなたのこと、好きだよね
神奈:(ちょ、こいつらいきなり何の話してんだ!つーか普通にバレてるの?
リク:そうでございますね。お嬢様はとても純粋なお方、顔にそう書いてあります。
神奈:(うっそーーー!バレてた!超恥ずかしいんだけど!
鈴蘭:やっぱり・・・
神奈はすごく顔を真っ赤にした。あの土方にバレてたならまだわかる気がする・・・、まさか鈴蘭さんにもバレていようとは・・・
鈴蘭:お嬢様には悪いけど・・・私もあなたのこと、好きだから・・・・・・
え?
鈴蘭:私の人生を光り照らしてくれたあなたという光源、それを消さないように護り続けるが私の生き甲斐。そんな私があなたに・・・好意を持っていないとでも?
リク:い、いえ・・・お嬢様の方は最初から知っていますが・・・あなたの方は意外でしたね・・・・・・
鈴蘭:あなたの驚いた顔を見たのは初めて・・・
鈴蘭はクスッと笑った。思えば神奈が鈴蘭がこうして笑っているのを見るのも初めてだ。
そうか・・・鈴蘭さんも土方のことが好きだったんだ・・・
鈴蘭:この恋は成就しない、わかってる。だけど私は恩は2倍にも3倍にもして返すと決めている。だからあなたに一生ついて行く。
リク:そうですか、まあ私としては鈴蘭さんをそういった対象としてみたことないので・・・少し困惑していますが・・・
と言っているが表情はいつものような笑顔だ。
リク:まあ考えておきますよ。私の好みは自分の言うことをよく聞いてくれるメス豚なのですがね・・・、あなたのようなサディストでも気が合いそうで悪くはないか。
その言葉を聞いた瞬間、神奈はすぐに部屋に戻り、布団の中に潜った。
あんなドSで最低で毒舌で最悪なやつ・・・好きじゃないと思いたかった。
だけど・・・これだけ今傷ついてる。これだけ今涙を流している。
この恋は・・・本物だ。
リク:鈴蘭さん、ひょっとしてあなた、お嬢様がいることを知ってこんな告白をしたのですか?
鈴蘭:・・・気づいているに決まってる。私はボディーガード。人の気配には人一倍敏感だから。そういうあなたこそ気づいていたのね。
リク:まあ・・・。明日のお嬢様の顔が楽しみでございますね。
鈴蘭:・・・少し大人げなかったかな。
リク:と、言いますと?
鈴蘭:私があなたを好きなのは本当。だから・・・傷つけたと思う。心の中ではそれが狙いだったのかも・・・
リク:大人げないことはありません。逆に鈴蘭さんは子供ですよ。
鈴蘭:むっ・・・
こうして温泉旅行は終わった。
続く