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Re: 私は臨時ドS執事に一目惚れをした。 ( No.37 )
日時: 2013/08/17 21:20
名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: 5K27D2Vq)

第10話『湿っぽい別れは嫌いなものでして』


あの出来事から・・・私、神奈は何となくあの2人を避けていた。いや、彼らの職業上普通に接すことはあるんだけど、それ以上に話すことをやめた。

何というか・・・多分私が勝手に思っているだけなのだが、彼らには彼らの世界がある。彼らは今まで私が考えられないほどの過酷な人生を送ってきたはずだ。そんな彼らと私のような何不自由なく育ってきたスーパーお嬢様、同じ世界にいられるはずもない。


そんなこんなで暗い生活を送っていたらとうとうあの日の前日となった。

あの日?決まっている。リクと鈴蘭がこの家から出て行く日だ。


元々私の専属執事、木戸の代理で雇われたのが土方リクだ。その木戸は明日の夕方に帰ってくる。そのときにリクと鈴蘭も入れ替わりで出て行くというわけなのである。



リク:お嬢様、今日も何か暗いようですね。やはり、何かおありになったようで・・・よろしければこの私、土方が悩みを聞きますよ?

神奈:・・・別に、悩みなんかないし。


この男、「悩みを聞きますよ?」と言っているわりに顔が明るい。なんかスッゲェムカつく!

まあこのとき神奈は知らないのであるが、土方はその神奈の悩みを当然知っているのである。だからニコニコしているのである。



リク:そういえばお嬢様、私と鈴蘭さんは明日、木戸さんが帰ってきたら屋敷から出て行きます。2週間という短い期間ではありましたが、お嬢様にお仕えさせていただき、本当に幸せでございました。

神奈:あ・・・う、うん・・・・・・



相変わらず神奈はリクの方を見ず、モジモジしている。



リク:お嬢様・・・この際はっきり言っておきますけど、私は別に鈴蘭さんのこと好きじゃありませんよ?

神奈:ええ!?

リク:テンションがだいぶ変わりましたね。

神奈:え、あ、いや・・・別にそんなことないし。別に気になってたわけじゃないんだからね!

リク:いや・・・えっと、テンプレ通りのツンデレで読者サービスですか。いかしますねぇお嬢様。ギャラいくらもらってるんですか?

神奈:なんてこと言うんだァァァ!


ハッ、気づいたら私土方と普通に会話してる。言葉巧みに誘導されてる感じ。そういうとこはある種尊敬に値する。


リク:だってお嬢様、あの時私と鈴蘭さんの会話を盗み聞きしてたでしょ。いけませんねぇ、子供が盗み聞きなんてはしたない真似をしては。そんなはしたない女性になってしまっては私のクビは旦那様に消し飛ばされますよ。

神奈:ええ!?ちょ、気づいてたの?

リク:ええ、気づいていましたよ。ほら。


と言ってリクは携帯を神奈に見せた。そこには柱に隠れている神奈が写っていた。


神奈:ちょっと待てェェェ!いつ撮った?これいつ撮ったんだ!

リク:そうですね・・・鈴蘭さんが「お嬢様はあなたのこと、好きだよね」と言ったあたりですかねぇ・・・

神奈:それってほとんど最初っからでしょうが!何?隠し撮りしたの?

リク:いや〜、それほどでもございませんよ。

神奈:褒めてないし!


いやいや、本題進まない。


神奈:土方は・・・鈴蘭さんに気がないの?

リク:進行形はそうですね。ただ、未来はわかりませんよ。私だって人間ですから。サディスティック人じゃありませんから。まだサイヤ人の方がいいです。

神奈:どーでもいいボケかまさないでくれる?土方は出て行く前日でも全然変わらないのね。

リク:湿っぽい別れは嫌いなものでして。


そう、相変わらずの不気味な笑み。こいつ、やっぱり地球人でもサイヤ人でもなく、サディスティック人だわ。




鈴蘭:・・・・・・荷物まとめた?

リク:ええ、だいたい。いよいよ明日ですか。早いようで長いようで・・・、旦那様への恩返しを少しでもできたらと思っているのですが・・・

鈴蘭:私はリクへの恩返しをするためについてきてる。できてる?

リク:まだまだこれからですよ。本当に私に恩返ししたいのならまずはこの首輪をつけ・・・



ドゴッ!



頭を木刀で殴られた。






続く