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Re: 私は臨時ドS執事に一目惚れをした。 ( No.5 )
日時: 2013/07/30 10:34
名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: gYu/uyWc)

第1話『土方リクと申します。』




私の名前は織田神奈。泣く子も黙る超大企業の社長令嬢。つまり、お嬢様なのである。

高校は日本一のお嬢様学校で登下校は車で送り迎えしてもらっている。いわゆる、誰もが羨むお嬢様なのだ。

今日から夏休み。いつものように車で家に帰ってきた。家は本当にお城みたいな家。異国だったらおそらくお嬢様ではなく、お姫様と呼ばれているのかもしれない。




と考えていると、家の前に一人の見かけない若者がいるのを見つけた。


とても爽やかな笑顔を浮かべたイケメンだった。しかも私好みの!展開がとても早いが仕方ないのである。タイトルは『私は臨時ドS執事に一目ぼれをした。』、すなわち私が彼に一目惚れをしないかぎり話が進まないのである。



だが、勿論私はこの小説の中の登場人物であり、こんなタイトルとか知っている由もない。簡単に言ってしまうと、私はこの時点で彼が執事だということもドSだということも知らなかったのである。





神奈:あ、あなた、ウチの前で何してるの?

リク:お初にお目にかかります、神奈お嬢様。私、あなたの側近の木戸さんに代わりにほんの2週間だけあなたの執事をさせていただきます、土方リクと申します。


と言ってその好青年は笑顔を浮かべたまま少しお辞儀をした。第一印象はそう、『好青年』なのである。


神奈:ああ、坂本が言ってたわ。まさかあなたが土方だとはね。結構若いのね。

リク:ハイ、お嬢様ほどではありませんが今年で22になります。

神奈:それでも私より5歳は年上なんだから私からしてみたらおじさんね。

リク:そうでございますね。ですがお嬢様もそのうちあっという間に奥様と呼ばれるようなお年になることでしょう。その時にはさぞかし大人っぽい女性になるのでございましょうね。

神奈:ま、まあ・・・土方。アンタ私を口説く気?

リク:逆でございましょう。それよりお嬢様、中へ。



22歳・・・5歳差なら年の差結婚が盛んになっている近頃なら全然離れていないだろう。この男、優しいし私好みだ。



だけど気になるのは最後の言葉。「逆でございましょう。」だ。私を口説くの逆?じゃあ私に嫌われるようなことをする気なのか?いや、彼は執事、100%そんなことはない。じゃあその逆っていうのは・・・まさか私が一目惚れしてるのバレてる!?バレてるの!?


と言っている間に神奈はリクにダイニングルームに連れられた。まあダイニングルームと言っても世間一般のああいうのではなく、ハリーポッターのアレを思い出させるような部屋だ。

そしてそこには2人分、オムライスが置いてあった。


神奈:あ!今日オムライスなのね!私大好物なの!

リク:はい、それを坂本さんから聞きましたので作ってみました。お嬢様のお口に合うかどうか・・・

神奈:うっそ!これ土方が作ったの!?すごい料理上手なのね。

リク:いえ、お嬢様が毎日召し上がってるものに比べたら、私の料理なんてなんてことはございません。では、どうぞ召し上がってください。

神奈:うん、じゃあいただきます!




パクっ!




うん!おいしい・・・おいしい?か・・・




神奈:辛っ!かっら〜〜〜〜い!!何これ!超辛いんだけど!水!水!

リク:あ、すみません、それは私のです。私は辛い物が好きなので、タバスコを無茶苦茶入れてあります。すぐにこのオムライスと取り換えましょう。僕はまだ手を付けておりませんので。

神奈:ううっ、舌がヒリヒリする。まあ次から気を付けてね。



彼は若いからまだ新人。ミスはあるわよね。とバカなことを考えていた。ていうか土方はあのクソ辛いのを普通に食べてる。本当に人間か?






神奈:ふ〜、暇だな〜。そうだ!ゲームやろう!えっとWiiは・・・あ、そうだ!ねえ土方、アンタゲームできる?

リク:いけません、お嬢様。今の時間からやると睡眠に影響が出ます。お嬢様のピッチピチな肌がザラッザラになりますよ。

神奈:え〜、けど暇だし・・・

リク:ゲームにも色々あるということですよ、こんなのはどうですか。



リクはポケットの中から何かを取り出した。トランプだ。



リク:これであれば、液晶画面を見ることなく楽しく遊ぶことができます。お嬢様には遊び相手もいることですしね。



ニコッと笑った。だがその笑みは一瞬不気味なものを持っていた気がした。だが一瞬。気のせいだと考えた私は・・・



神奈:ええ、あなたがそこまで言うならやってやってもいいわよ。何をやるの?

リク:2人だとポーカーとかがいいと思われますね。

神奈:いいわよ、私ポーカー得意だもの。

リク:お手柔らかにお願いしますよ。




この後私は知る。彼が発していた「逆でございましょう。」という発言は私が彼を口説こうとしていたという意味の他に、私が100%ないと確信していた意味も含まれていたことを・・・






続く