コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【逆ハー万歳!】貴方に愛されたい僕とハナミズキ。 ( No.3 )
- 日時: 2013/07/28 19:49
- 名前: 夕紀 ◆8HAMY6FOAU (ID: ymYDaoPE)
3.
「さて、では本題に入りましょうか」
おばあさまがそう言うので、あたしは思わずギュッと手を握りしめた。
隆弘が隣に来て、また緊張してるよ、と笑った。うるさいわ。
「樹ちゃんのご両親が海外出張から帰ってくる間。この家に住んで、ここから学校に通うということだけども……それでいいかしら?」
「あ、はい。でも、多分……正確な期間はわからないのですが、三年間。高校卒業までだと……」
「そうだったわね……私としては、ずっといてもらっても構わないのよ?隆弘くんもそうしてくれると嬉しいって顔しているしね?」
おばあさまがふふっと笑う。隆弘のほうに顔を向けると、うんうん、と笑顔で頷いている。
「……まぁ、とにかく。これからよろしくね、樹ちゃん」
「はい!よろしくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる。
おばあさまによろしく、と言われるとあたしは本当にこの洋館に住むんだなと実感がわいてくる。
「おばあちゃん!いっちゃんを部屋に案内してもいい?」
「えぇ、いいわよ。ついでに館の案内もね。……4人で住むには広すぎるわよねぇ」
「え?……4人?」
隆弘とおばあさまが一緒に暮らしているのは知っている。
そこにあたしが加わるから3人じゃないの?
あたしが疑問符を頭に浮かべると、おばあさまがハッと思い出したように言った。
「そうそう、同居人がもう一人。私の遠い親戚なのだけど、奈内 未來くん。彼もこの洋館に半年前から住んでいるの」
「へぇ……そうなんですか」
「未來なんて、女みたいな名前だよなぁ〜」
そう隆弘がぼやいた。
あれ、あの隆弘の顔から笑顔が消えた。
苦手な人なのか?
「多分、そろそろ帰ってくる頃だから途中で会うかもしれないわね。隆弘、紹介よろしくね?」
「はぁーい……いっちゃん!部屋行こう!」
「うん。……では、おばあさま。また」
「えぇ、それではね。樹ちゃん」
おばあさまに会釈して、あたし達は部屋を後にした。
▼
「ここだよ!樹の部屋!」
「あ……『ナツツバキ』だ」
隆弘に案内された部屋のドアには、『ナツツバキ』の花が彫られていた。
「さすが、いっちゃん!おばあちゃんと同じ花博士!」
「博士はいいすぎだろ。……まぁ、詳しいけどさ」
あたしは小さいころから花……というか、花言葉が好きだった。
その花々に一つずつそれぞれの花言葉があって、その言葉一つ一つがあたしにとってはどんな宝石よりも輝いているように思える。
「『ナツツバキ』の花言葉は、確か……」
「『愛らしい人』、だよね」
「え?」
にかっと笑う隆弘をあたしは驚きながら見つめた。
「せ、正解。なんで?」
「おばあちゃんがこの前、いっちゃんの部屋を選ぶ時に言ってた」
カチャカチャと部屋の鍵を開けて、隆弘はあたしの荷物を持ちながら部屋に入って行った。
「部屋のそれぞれのドアにそういう花が彫られているの?」
「うん。そうだよ!俺の部屋も、あとおばあちゃんの部屋もそれに、未來の部屋もね」
隆弘に続いて部屋に入る。
そこは、広めのテラスのある部屋で少しおばあさまの部屋に似ていた。
ベッドと机あとタンスがあって、どれも可愛らしいウッドデザインだ。
「うんしょっと……重いねぇ、何入ってるの?」
「開けようとするな。スケベが」
「酷い!!」
あたしははぁとため息をついた。