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Re: 【逆ハー万歳!】貴方に愛されたい僕とハナミズキ。 ( No.8 )
日時: 2013/07/29 17:13
名前: 夕紀 ◆8HAMY6FOAU (ID: NRAsdfzb)

6.



「えぇと……この服はクローゼットに……」

晩御飯までの間。
あたしは自分の部屋で、送られてきていた段ボールを開けてはしまい、開けてはしまうの繰り返し作業をしていた。

「ん、と……ん?これ……」

あと一つとなった段ボールの蓋を開けると、その中には少し古びた本達。
これは確か、あたしが小さい時に読んでいた本だ。

「『花占い』……『花の育て方』に『花図鑑』『花言葉』……見事に花だらけだなぁ……」

小さい頃のあたしはこれをずっと繰り返し繰り返し読んでいたんだよな。
おかげで、どのページもボロボロだ。

「10年も前のやつだもんなぁ……」

懐かしく思いながらパラパラとページをめくっていく。
と、あるものを見つけてあたしはめくる手を止めた。

「うわ〜……これ、コスモスの押し花だ。懐かしいなぁ……」

淡い紫色が残るコスモスの花。
あたしが小学生の時だったと思う。




『花言葉』の図鑑を持って、公園に行ったんだ。

秋の公園には、限られた数の花しかなかった。

『うーんと……あ!あった!』

花壇の花々の中から美しい紫色のコスモスを見つけて、
ポキッと根元から折った。

今思えばいけないことだと分かるけど、あの頃のあたしはただ、コスモスを押し花にしたかった。もうすぐ枯れてしまうであろう美しい花を冬でも見れるように。





「って、全然片付けが進まない!!」

慌てて本を閉じて、あたしはそれを本棚に入れた。