コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.117 )
- 日時: 2013/09/06 21:37
- 名前: 和泉 (ID: ZsfIQqc0)
♯49 「次女とデートと写真展」
現在9時45分。
日下部との待ち合わせは10時。
あたし、藤沢リカは駅前の広場でぐいぐいとやたら短いスカートを引っ張った。
そう、今日は日下部とのデートの日だ。
どうしようどうしようあたし変じゃないかな。
何度も何度もスカートの裾を引っ張っる。
パステルカラーのブラウスとスカートは、以前母さんがお出掛け用にと買ってくれたもので、
誰かと出掛けたりしないあたしはクローゼットの奥にこの服をしまいっぱなしだった。
引っ張り出したのはほんとに昨日。
落ち着きなくそわそわと時間を確認する。
もう何回目かもわからないくらい振り向いて確認した時計台を見上げて、ふと思った。
なんで日下部と出掛けるためだけにおしゃれなんてしたんだあたし。
なんで日下部と出掛けるだけなのにこんなに緊張してるんだあたし。
だって日下部だ。
変態ストーカー日下部だ。
そいつ相手になんであたしはこんなうかれて緊張してるんだ。
そうふと思った時。
「藤沢さん?早いね」
「うわぁぁぁぁぁあっっ!!」
うしろからぽん、と肩を叩かれて反射で体を思いきりひねった。
そのおかげであたしのひじが後ろに立っている男にクリティカルヒット。
「……………ぐっ!!」
あたしは後ろを振り向き、今まさにしゃがみこんだ人間を確認して。
「ごめん!!ごめん日下部!!」
頭を下げた。
そう、そこにいたのは他でもない。
あたしをデートに誘った相手である日下部だった。
日下部は苦笑いで手をヒラヒラと振る。
「いや、後ろから突然声かけた俺が悪いし。
かなりいい肘鉄だったよ」
それ誉め言葉じゃない。
あまりにフォローにならないフォローに思わずうつむくと、
日下部がしゃがみこんだままふっとあたしを見上げて笑みをこぼした。
「今日はちょっと雰囲気違うね、藤沢さん」
「え?」
何を言ってるの?と聞き返すあたし。
そんなあたしに日下部は一言。
「かわいい」
…………こいつは、本当にもう!!
「バカ、原子レベルに崩壊しろ!!」
かっと顔に集まった熱をごまかすように、あたしは日下部を突き飛ばした。
しゃがみこんでいた日下部は盛大に尻餅をつく。
「うわ、藤沢さん愛情表現が激しいよ!?」
「愛情表現なんかしてない!!
バカ!!バカ、バーカ!!」
「………藤沢さん、もしかして照れ、てないね嘘嘘ごめんお願いその振り上げた手を下ろして」
日下部なんて嫌いだ!!
不意打ちばっかりするから。
ほてった頬を覚ますように手を頬にあて、
あたしはぐいっと日下部の手を引っ張った。
「はやくいこ、写真展!!」
「う、うん!!」
なにはともあれ。
あたし、藤沢リカと日下部音弥のデートのスタートです。